遺伝的解析に基づく偶蹄類の個体群管理手法の開発とその適用
Project/Area Number |
02J20211
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
林学
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
永田 純子 独立行政法人森林総合研究所, 野生生物研究領域, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 偶蹄類 / ニホンジカ / 遺伝的構成 / 季節移動パターン / ミトコンドリアDNA / コントロール領域塩基配列 / 個体数管理 / PCR |
Research Abstract |
北海道におけるニホンジカの越冬地の一つである北海道白糠町において冬季にニホンジカの生体捕獲が行われ、電波発信機を装着した95頭から血液サンプルを得た。これらの個体は北海道大学農学研究科によってラジオテレメトリー(VHS)法およびGPS法によって追跡され、季節移動パターンが明らかにされた。 95捕獲個体中29個体の血液からDNAの抽出を行い、ミトコンドリアDNAコントロール領域の一部(868塩基)の塩基配列を決定し3つのハプロタイプが検出された。北海道には少なくとも6つのハプロタイプ(a-fタイプ)が存在することがわかっており(Nagata et al.,1998)、今回検出された3つはそのうちのa-cタイプに相当した(aタイプ:17個体,bタイプ:11個体,cタイプ:1個体)。aタイプは阿寒型、bタイプは大雪型、cタイプは日高型と大別されていることから(Nagataら,1998)、白糠町越冬集団には、大雪、阿寒、日高型が混在していると判断できた。 追跡調査からは29個体中26個体の季節移動パターンが明らかになり、移動型は20個体(a=11、b=8、c=1)、定住型は4個体(a=4)、分散型は1個体(b=1)であった。季節移動パターンとハプロタイプとの関係を明らかにするために、移動型、定住型、分散型にふくまれるハプロタイプ頻度の比較をおこなったが有意差は検出されなかった(X^2検定:p>0.1)。しかし、移動型には3ハプロタイプがみられ、定住型にはaタイプしか見られない。aタイプはもともと白糠周辺に定住しているものであるとすると、何らかのタイミングによって移動型にシフトした個体が出現したことが予想される。今後さらに遺伝的な構成と越冬に存在する個体の移動パターン、そしてシカによる被害発生地域との対応を検討することによって、冬季、越冬地における効率の良い個体数管理が提唱できると考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)