分散並列遺伝的アルゴリズムを用いた遺伝子間相互作用推定システムの開発
Project/Area Number |
02J61454
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
知能情報学
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上田 尚学 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 遺伝子間相互作用 / S-system / 遺伝的アルゴリズム / 逆問題 |
Research Abstract |
本研究は遺伝的アルゴリズムを用いた多次元非線形数値最適化手法を開発し、遺伝子間相互作用推定問題に適用するというものである。決定する数値パラメータ数は状態変数(遺伝子の数)nに対してn^2のオーダーであることから、最適化処理の高速化は不可欠である。そこで遺伝的アルゴリズムの高速化、さらに分散化・並列化の技術を取り入れた分散並列遺伝的アルゴリズムの開発を本研究の目的とした。 本研究では遺伝子ネットワークモデルにS-systemを採用したS-systemは振動系やカオス系などすべてのダイナミクスを相関係数によって表現できることが知られている。この連立微分方程式を解くことによって得られるタイムコースと、観測されたダイナミクスのタイムコースを一致させる様に実数パラメータを最適化する事でネットワークを推定する。最適化するパラメータの数は2n(n+1)個である。これらの最適化には遺伝的アルゴリズム(GA)を用いた。しかし最も一般的なSimple GAでは最適化の効率は悪い。そこで本研究では交叉方法にUNDX(Unimodal Normal Distribution Crossover)、世代交代モデルにMGG(Minimal Generation Gap)を採用し実数値GAを実現した。これらの各方法はベンチマーク関数を用いた関数最適化問題では非常に良い結果を残しているが、実問題への適応例はほとんどない。UNDXは実数空間で交叉を行える方法であり、選ばれた3つの親個体の周辺に正規分布に従った子個体を発生させる。したがって最適化の初期段階では親個体は探索空間に広く分布しているので大域探索を行うことができ、最適化の終盤では親個体はある一定の空間に収束しているので局所探索を行うことができる。MGGは個体への選択圧を子個体にかける特徴を持ち、Simple GAにおける探索の初期段階でのローカルミニマムへの収束や、探索の終盤での進化停滞を防ぐことができる。 シンプルな振動系(遺伝子数2)を例にSimple GAとUNDX+MGGの結果の比較したところ、CPU時間で約12倍の高速化を実現することができた。また最適化の安定化も実現した。より要素数の多い遺伝子ネットワークの場合、逆問題という性質上、解候補が数多く存在する。そこで本研究では得られたネットワーク候補を統計的に取り扱うことで解の絞込みを行うことに成功した。この方法を実現するためにPCクラスター上での分散並列プログラムを作成した。要素数5の典型的な遺伝子ネットワークモデルにおける計算では60変数の最適化に成功し、オリジナルのネットワーク構造を再現することができた。またこの方法は信頼のおけるサブネットワークの抽出を行うことができ、さらにデータのノイズ対策にも有効であることがわかった。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)