Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Research Abstract |
所属する研究機関では,1000トンの液体シンチレータを満たしたニュートリノ検出器(カムランド)を用いて,ニュートリノの研究を行ってきた.本年度は,昨年に続き,原子炉からの反ニュートリノの測定を実施し,統計的,系統的な精度を高めた測定を継続してた.また,太陽を始めとする,原子炉以外から放出される反ニュートリノに関する研究を行い,その成果を論文に纏めた. 上記の研究と平行して,「太陽ニュートリノの観測」を目指した研究を進めている.この太陽ニュートリノ観測は現在よりも低いエネルギーの現象であるため,今まで以上の低バックグランド化が必要不可欠である.これまでの研究によると低エネルギー部分のバックグラウンドはほとんど^<85>Krと^<212>Biで占められていることが,分かっている.そこで,液体シンチレーターから高い効率で重金属と希ガスとを取り除く方法の開発を行った.それらの成果を以下に具体的に列挙する. ・液体シンチレーターからの重金属の除去を行うため,液体シンチレーター中の鉛(^<212>Pb)の吸着除去実験を行い,鉛の30%をSiO_2に吸着除去することに成功した. ・平行して,蒸留法による液体シンチレーターの純化実験を行い,鉛の99.6%を除去純化することに成功した.実験によると,純化効率の高さのみならず,初期の濃度が10^<-16>g/gという極々微量な放射性不純物をさらに純化可能であることも分かった. ・更に,放射性の希ガス(ラドン)を用いて,蒸留法による,液体シンチレーターから希ガスの除去効率の計測を行った.その結果,測定装置の感度限界以下まで,ラドンガスが除去されていることが分かった. 蒸留法に関する上記2つの結果は,将来の太陽ニュートリノ検出計画に向け,非常に大きな成果であった. ・最後に,昨年から行っている,カムランド純化装置エリアの環境放射能削減計画の有効性を実証した.カムランドの設置されている,神岡鉱山では,トンネル内と言う特殊環境のため,ガス中の環境放射能が約50倍もの高濃度になってるのだが,エリア内側を気密化と外気取り込みの結果,エリア内を地上と全く同等の放射能レベルにまで落とすことに成功した.
|