Project/Area Number |
03F00133
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
衛生学
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小林 宣道 札幌医科大学, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALAM Md. Mahbub 札幌医科大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / 腸球菌 / 薬剤耐性 / 消毒剤耐性 / メチシリン耐性 / アミノグリコシド耐性 / テトラサイクリン耐性 |
Research Abstract |
本研究の対象とした黄色ブドウ球菌は1993年から2001年までに札幌医科大学医学部附属病院で分離された臨床分離株522株であった。今年度は消毒剤への耐性を賦与する、薬剤排出蛋白の遺伝子である消毒剤高度耐性遺伝子(qacA/qacB)、低度耐性遺伝子(smr)の分布と遺伝子学的多様性を解析した。qacA/qacB遺伝子はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の32.6%、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)の7.5%に検出された。一方smr遺伝子の検出率はMRSA,MSSAで各々3.3%、5.9%と低かった。qacA/qacB遺伝子陽性菌株の中で、qacAは40.7%、qacBは59.3%を占めた。各遺伝子の保有菌株のうち代表的なものについて遺伝子配列を決定したところ、qacAは2種類、qacBは4種類の遺伝子型が同定された。またqacA,qacBの下流領域の遺伝子配列についても調べたところ、既報のものも含めて、qacAよりqacBにおいて多様な配列が見られた。これらより、qacAからqacBが分子進化を経て生成したと考えられる。腸球菌については1997〜1998年の2年間および2001年1-7月に札幌医科大学附属病院で分離された菌株約250株のほか、2002年10月から現在までの分離株約300株を対象とした。アミノグリコシド耐性遺伝子の分布については、高度ゲンタマイシン耐性に関与するaac(6')-aph(2")はE.faecalisで40.5%、E.faeciumで3.5%に検出された。黄色ブドウ球菌に分布し腸球菌では報告のない、ant(9)-IaがE.faecalis、E.faecium、E.aviumに各1株づつより検出され、それらの遺伝子配列は黄色ブドウ球菌のそれに完全に一致していた。テトラサイクリン耐性遺伝子は、tetMがE.faecalisで75.2%,E.faeciumで71.7%と高い検出率を示した。Streptococcus pyogenesでのみ報告のあるtetTがE.faecalis5株に検出され、その遺伝子配列はS.pyogenesのそれにきわめて似ていたが、4塩基(4アミノ酸)の違いがあった。tetS、tetOは腸球菌に存在することは知られていたが、その遺伝子配列と多様性は明らかではない。今回E.faecalisで検出されたtetS遺伝子は、Listeria monocytogenesにおけるそれと全く同じ配列を、tetO遺伝子は既報のtetOを加えても遺伝子配列の多様性が多く見られた。今後これら耐性遺伝子が腸球菌へ拡大した機序について遺伝子学的観点から考察する予定である。
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