Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は荷電高分子の凝縮・脱凝縮構造相転移(折り畳み相転移)のメカニズムを明らかにすることである。特に,折り畳み相転移における,静電相互作用と,対イオンの自由度に起因するエントロピー的有効相互作用との競合について明らかにすることを目的としている。 これまで行ってきた研究により,疎水性荷電高分子が,Bjerrum長(熱エネルギーに対する静電エネルギーの比)の変化に対して従来の描像とは大きく異なった振る舞いをすることが明らかになった。そこで,本年度は顕微鏡により直接観察が可能なDNAを用いた実験を行い,一分子レベルでの構造を調べた。NMF (N-methylformamide)溶液を用いて,水中よりも高い誘電率環境を実現し,また温度変化によって誘電率を大きく変化させることが出来る系を構築した。この手法により,幅広いBjerrum長の領域で実験を行うことが出来る。具体的には,DNAにspermidine(3価のカチオン)を加え,蛍光顕微鏡でDNAの構造を観測することで折り畳み相転移が起きる濃度領域を調べた。 また,アミノ酸を溶媒として用いた系でも実験も同時に行った。アミノ酸もまた誘電率を大きく変化させるものとして知られており,この系についてもDNAの折り畳み相転移について直接観察実験を行った。 これらの実験から,DNAの凝縮相と脱凝縮相との自由エネルギー差がBjerrum長にどのように依存するのかを見積もる予定である。また,本研究内容はProceedings of Dynamics of Complex Fluidに掲載予定である。
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