Research Abstract |
本研究では,(1)微小領域のin situ地質年代測定法の開発と(2)三波川変成岩へのその年代測定法の応用の2部分よりなる.今年度は11月末よりこの研究が始まり,3ヶ月あまりの短期間であったため,(1)の年代測定法開発のための基礎的な研究を主に行った. 1)年代測定を行うための三波川エクロジャイトおよび関連する藍閃石片岩,ざくろ石角閃岩,泥質片岩などの高圧型変成岩の岩石試料の採取を行った. 2)1)で採取した変成岩岩石試料の偏光顕微鏡を用いた岩石記載,ざくろ石,単斜輝石,角閃石,雲母類などの主要変成鉱物のEPMAにょる微小領域化学組成の分析と固溶体鉱物の元素カラーマップ分析を行った.これにより,来年度に行う年代測定に適合する岩石試料とその中の測定鉱物種の選定を行った. 3)ジルコンによるU-Pb年代測定方開発のための,年代既知のジルコン含有酸性岩(花崗岩質岩および流紋岩質岩)の標準試料となる岩石の採取を滋賀県野洲町,岡山県岡山市などで行った. 4)上記3)の標準試料となる岩石試料に加えキルギス産エクロジャイト相変成作用を受けた珪質変成岩および変オフィオライト構成岩類から,ジルコンおよびモナザイトの鉱物分離を研究補助者の協力を得て行った. 5)2)の記載と分析をもとに年代測定を行う予定の変成岩についてその原岩の推定と形成温度・圧力条件の推定を行った. 6)三波川変成帯におけるこれまでの地質年代学的研究のレビューと年代データベースの作成を始めた.この過程で,三波川変成帯のalong-arcおよびacross-arc方向の年代変化についての検討をおこなった.
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