Research Abstract |
カンキツ果実は強力な苦味であるリモノイドを多量に含んでいる。また、ミカン科に最も近いセンダン科の植物にもリモノイドが含まれている。これらのリモノイドは幅広い生理活性を示し、昆虫の摂食阻害ならびに動物や人間に対する医薬品的効果、抗かび、殺菌剤、抗ウイルス活性などとして種々の生長調節作用を持っている。アフリカの西海岸の熱帯雨林に分布するアフリカンマホガニー(Khaya ivor ensis A.)もリモノイドを含有しているので、これまで種々の部位からリモノイドを単離してきた。そこで、化学構造を決定するため、つぎのような実験を継続し、それらの生理活性を研究した。 コンゴ共和国から採集されたアフリカンマホガニーの樹皮をジエチルエーテルで抽出したのち、シリカゲルを充填したオープンカラムで分画した。カラムは塩化メチレンとアセトンの濃度勾配により溶出した。HPLCと組み合わせて精製し、アンゴレンセイト、D環が開環したリモノイド、メキシカノイドの10個のリモノイドを単離した。リモノイドの構造は1^Hと^<13>C-NMRを用いて解析し、これまでに報告されている文献のデータと比較した。その結果、単離したリモノイドはmethylangolensate, methyl 6-hydroxyangolensate,3-deacetylkhivorin,3,7-dideacetylkhivorin,1,3,7-trideacetylkhivorin,7-deacetylgedunin,7-deacetoxy-7-oxogedunin, swietenine,3-Ο-detigloyl-3-Ο-acetylswietenine and 3-Ο-acetylswietenolideであった。次に単離したリモノイドについて抗かびや抗菌活性を数種の食品病原菌や植物病原菌を用いて研究している。 さらに、日本に自生しているサルトリイバラの葉を山から採集し、メタノールで抽出したのち、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによって抗菌物質を精製している。
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