大腸癌の発生進展に関わる新世代がん遺伝子の活性化機構:遺伝子診断と分子標的治療の開発を目指して
Project/Area Number |
03F00341
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
病態医化学
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
源 利成 金沢大学, がん研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG Bin 金沢大学, がん研究所, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2003 – 2005
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
|
Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | 大腸癌 / がん遺伝子 / hdm2 / スプライス変異体 / p53がん抑制遺伝子 / がん病態 |
Research Abstract |
近年のがん研究はより広範で多様な分子種を包含し,従来は生命現象の要と考えられていた分子群の一部をも細胞の形質転換やがん化に関わる分子として認識するようになってきた.このような動向に鑑み,本研究はこれら複数の新規がん遺伝子の異常を大腸がん病態との関連から解析し,発がん・進展の分子機構に迫ることを目的とする.本研究ではhdm2 (human homologue of mdm2)とATF2 (activating transcription factor 2)を対象にして,大腸癌におけるこれらの分子異常の関与を3年度にわたって一貫して解析することを計画した. 本年度は,腫瘍におけるhdm2スプライス変異体の検出と分子診断と分子標的治療法開発への展開を中心に,研究を開始した.転写因子p53とE3リガーゼ作用を示すMdm2は様々な細胞生命現象において相補的作用を示す分子対である.我々は,培養癌細胞における両分子の生理的相補作用の破綻を明らかにし,細胞がん化の重要な分子機構であることを発表してきた(J Mol Biol 2000;295:1009-21).mdm2のヒト相同体hdm2のがん化に伴う変化として遺伝子増幅や転写亢進とともに様々なスプライス変異体(hdm2-v)が検出され,乳癌や卵巣癌の悪性度に関連すると報告されている.本研究では,腫瘍においてRT-PCRにより全長のhdm2が増幅された69例の大腸癌を対象としてhdm2-vを検出し,p53不活性化やがん病態との関連について検討した.大腸癌で4種類のhdm2-vのいずれかが検出されたものは46例(67%)であった.p53の変異は23例(33%)に検出されたが.hdm2-vの発現とは相関しなかった.hdm2-vの発現は病期の進行と有意な相関を示し(p=0.05),とくにp53変異を認めない症例ではDukes' C病期と相関を示した(p=0.015)ことから,hdm2-vが癌の悪性度を高める機構はp53不活化とは別の分子機構によることが推察された.hdm2-vのうち最も高頻度に検出されたものは既報のhdm2-vCに相当するものであり,単独で大腸癌病期の進行と相関した.大腸癌細胞株HT29に検出された1012bp(hdm2-vCに相当)の変異体構造は新規の塩基配列であった.今後大腸癌特異的なhdm2-vの構造や機能を明らかにすることにより,hdm2-vを標的にしたがん悪性度診断や分子標的治療に関する基礎研究に展開できるものと期待される.
|
Report
(1 results)
Research Products
(7 results)