Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Research Abstract |
ペルム紀末の大量絶滅後の底生動物の回復現象を明らかにするため,今年度はオマーン北西部,北上産地の2ヶ所の三畳紀初期の地層に焦点を当て,地質調査並びに古生物の採集と観察を行った. 1.オマーン北西部では2ヶ所で三畳紀初期の地層が非常に良く観察され,一地点で浅海相の地層,もう1地点で沖合層の地層が見られる.すなわち同地域で環境の異なるセッティングが観察される.浅海相のGriesbachianの地層からは世界的に見ても極めて例外的に豊富な底生動物が発見され,この時代にも局所的に無酸素事変を逃れて栄えていた底生動物群が存在したことが初めて明らかにされた.この中にはウミユリ類など未記載の動物群が含まれている.また,沖合層の地層からは生痕化石等が確認され,他地域の例と比較検討を行いつつある. 2.南部北上山地の三畳系について,まず総合的な地質調査を行った.その結果,平磯層(Smithian)から大沢層(Smithian-Spathian)にかけて大きな環境変化が存在したこと,第2サイクルと呼ばれていた風越層,伊里前層の堆積環境が深→浅という変化を示すことが明らかになった.この解釈は従来の堆積相の解釈を変える物である.また平磯層からはかなり多様度の高い底生動物の存在が示され,Smithianの時代にすでに他地域に先駆けて高い多様度の底生動物が回復していたことが示唆された.平磯層の生痕化石も多様度に富み,サイズ的にも大型の物が含まれることが明らかになった.
|