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¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
疲労損傷を事前に検知して適切な補修を行うことは構造物の安全上極めて重要であり,できる限り少ない検査回数で済む検査計画立案手法の構築が必要である。このためには,実働荷重下における対象構造物中の疲労き裂成長曲線を定量的に推定することが必要となるが,複数の荷重成分が重畳して作用する上に,各々の荷重成分の寄与割合を事前に把握することが困難なため,き裂成長曲線を決定論的に推定することが出来ない。そこで本研究では,この荷重成分の重畳割合を,(i)疲労き裂成長シミュレーション,(ii)適切な最適解探索手法,(iii)き裂観測結果(定期点検結果)から推定し,対象構造物の全寿命を供用期間の出来るだけ早期に推定する手法の構築を目指した。 研究最終年度である本年度は,複数の目的関数,制約条件下で従来の遺伝的アルゴリズム手法による最適化より,高速かつ収束性の良い解をえるために,実数型遺伝子を導入すると共に収束アルゴリズムを改良することで,より高性能な最適解探索手法を構築した。 また,文献調査により,大型鋼構造物中で成長する疲労き裂は,無き裂状態の弾性FEM解析から得られる最大主応力直角方向と同じ経路をたどる事を確認し,それぞれの荷重成分が単独で作用する場合の応力分布を適宜組み合わせ,各々の状態における主応力方向を求めることでき裂伝播経路を推定し,観測によられたき裂伝播経路と一致する荷重成分の割合を推定できる事を検証した。この時,あらかじめ予測される荷重成分の組み合わせは無数に存在するため,本研究で導出した最適解探索手法を利用した。 すなわち,損傷実績であるき裂伝播経路の観察結果より,研究の大きな目標であった作用荷重成分間の割合の同定が可能となった。 以上の結果,研究代表者がこれまでに構築してきた疲労き裂成長シミュレーションを適用すれば,損傷事故解析を従来以上に定量的に行う事が可能となったので,従来の手法では無視されていた,荷重履歴を考慮してき裂成長曲線を設定する手法を構築した。
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