Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
土壌塩類化による土壌劣化や植物生産性の低下の対策のため,植物を用いた塩類土壌の修復,塩類土壌下における作物の養分管理,とくに作物生育に必至な元素で生産性に重要な窒素の動態について研究を行なっている.今年度は,塩性環境下における有機態窒素(堆肥)の肥効とともに無機態窒素における肥効を形態別に検討し,以下の知見が得られた. 塩類土壌下における堆肥施用が,トウモロコシの生長と養分吸収に及ぼす影響を検討した.塩類集積土壌に対する堆肥施用は,土壌の塩類集積を助長し,堆肥と土壌中の塩類濃度の相互作用によって根群域の塩ストレスが誘引され,作物に生長阻害が生じることを示した.すなわち,塩類集積土壌における窒素源としての堆肥は,さらに塩類を負荷することになり,土壌の劣化につながるため,その使用には注意が必要であることが明らかになった. さらに,塩類土壌下において施与する窒素の形態(尿素,硝酸態窒素,尿素+硝酸)がトウモロコシのバイオマス量と養分吸収に及ぼす影響を検討した.塩性環境下では窒素の形態がバイオマス生産量に大きく影響し,尿素あるいは硝酸態窒素を単独で施用するよりも尿素と硝酸態窒素の混合施与が非常に効果的であることが明らかになった.さらに,塩類土壌の窒素利用効率は非塩類土壌に比較して約15%低下したが,塩類土壌下における窒素肥料の施与は塩ストレス下での地上部の養分吸収を改善し,硝酸態窒素でその効果が大きかった. 以上のように,塩類土壌における窒素の動態や肥効が,土壌の塩類濃度に大きく依存するという成果,とくに,塩類土壌中おける堆肥中の窒素動態に関する基礎的な情報は,持続的農業展開に対して非常に重要な示唆を与えるとともに,塩類土壌において適正な堆肥使用技術の開発に大きく貢献するものである.
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