細胞膜リン脂質非平衡分布と抗リン脂質抗体の血栓原性についての研究
Project/Area Number |
03F03345
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
内科学一般
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小池 隆夫 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AMENGUAL pliego Maria Olga 北海道大学, 大学院・医学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 抗リン脂質抗体症候群 / 血栓症 / 細胞膜 / リン脂質 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
アミノリン脂質トランスロケース(ATP10C)と脂質スクランブレース1(LS1)は細胞膜のリン脂質の不平衡分布を制御する酵素である。すわなちATP10Cが陰性リン脂質を細胞の内側にとどめておく機能をもち、逆にLS1は細胞が活性化されて誘導され陰性リン脂質を能動的に細胞の外側に移動させる機能をもつ。抗リン脂質抗体症候群(APS)は自己抗体由来の血栓傾向を来す疾患であるが、陰性リン脂質は凝固反応のみならず抗リン脂質抗体とその対応抗原との反応にも必須であり、細胞表面の陰性リン脂質の存在はAPSの病態形成に極めて重要である。 ATP10Cにはいくつか遺伝子多型が知られており、その多型とATP10C機能との関連が考えられる。すなわちAPSの遺伝要因としてATP10C遺伝子多型に注目し、本年度はまずATP10C遺伝子多型の存在を日本人において検討した。既知の多型(エクソン10と12)をPCR-RFLP法で、未知の多型は候補エクソン(エクソン19)の直接シークエンス法で多型を検出した。現在エクソン19に日本人の多型を検出し、APS患者と健常人とでその頻度を比較したが、健常人とAPS患者で有意差はなかった。 一方、LS1については、その遺伝子発現の動態を詳細に検討した。正常末梢血単核球や単球系セルラインであるTHP-1をインターフェロンαで刺激するとLS1遺伝子の誘導が観察された。LPSの刺激でもLS1の発現は誘導されたが、血栓形成にかかわる重要な分子である組織因子の発現はLPSで誘導されたのに対してインターフェロンαでは発現されなかった。B細胞、T細胞のセルラインを用いてもインターフェロンαによるLS1の誘導が観察され、LS1は多くの細胞で発現しうることがわかった。次に、モノクローナル抗プロトロンビン抗体をプロトロンビンとカルシウムの存在下でTHP-1を処理すると少量の組織因子mRNAが誘導されたが、同じ条件でインターフェロンαであらかじめ処理してから抗プロトロンビン抗体を加えると、組織因子の発現が著しく強調された。この現象は、APS患者では血栓の直接の原因である組織因子発現に至る過程で、誘導されたLS1の機能によって陰性リン脂質と抗リン脂質抗体の対応抗原が細胞表現で複合体をつくり、抗リン脂質抗体のターゲットを細胞上で形成されやすくすることを推定させる。細胞活性化と向血栓化のひとつの経路をLS1が担うという新しい知見が得られた。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Association of HLA-DM polymorphism with the production antiphospholipid antibodies2004
Author(s)
ML Sanchez, K Katsumata, T Atsumi, FI Romero, ML Bertolaccini, A Funke, O Amengual, E Kondeatis, RW Vaughan, A Cox, GR Hughes, MA Khamashta
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Journal Title
Ann Rheum Dis 63
Pages: 1645-1648
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