マラリア原虫が生産するヒスチジンリッチプロテイン2による原虫の宿主免疫システムからの回避機構の解析
Project/Area Number |
03F03361
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
機能生物化学
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
亀井 加恵子 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NGUYEN Tien Huy 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2003 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | マラリア / ヒスチジンリッチプロテイン / 好中球 / 血液凝固 / 血液線溶 |
Research Abstract |
マラリアは熱帯気で最も一般的な感染症であり、毎年、新たに約3億人が感染し、200万人〜300万人が死亡している。マラリア原虫による抗マラリア薬に対する耐性の獲得やワクチンが未だに実用化されていない事などから、新たな抗マラリア薬の開発が急がれる。マラリア原虫が生産するヒスチジンリッチプロテイン2(PfHRP2)は9残基からなるペプチドAla-His-His-Ala-His-His-Ala-Ala-Aspの繰返し配列で構成されている。PfHRP2はヘムと結合して膜とヘムの結合を阻害する事から、感染赤血球内でヘモグロビン分解によって生じる遊離のヘムから原虫および宿主細胞を防御する働きを有する事を我々は見出している。 本研究では、赤血球外に分泌されるPfHRP2の機能解明の一環として、宿主の免疫機構に対するPfHRP2の作用を明らかにした。まず、PfHRP2をリガンドとしたアフィニティーカラムを作製し、PfHRP2と結合する血清タンパク質のスクリーニングを行った。その結果、非感染マウスの血清中のIgMがPfHRP2と結合する事が明らかになり、PfHRP2がIgMと結合する事によって宿主の免疫系を妨害している可能性が示唆された。 続いて、好中球に対するPfHRP2の作用を検討した。その結果、PfHRP2はマウス好中球のIl-8の発現を誘導した。このことは、PfHRP2が好中球を活性化し、炎症反応を誘導することを示している。過剰な炎症反応は、宿主に大きなダメージを与える事から、PfHRP2による好中球の活性化はマラリアにおける血管の破たんなどの症状の一因になっていると考えられた。 我々は、さらに好中球を活性化する因子の同定を試み、原虫が感染赤血球内でヘモグロビンを消化して生じるヘムの結晶ヘモゾインが好中球を活性化する事を明らかにした。ヘモゾインの形成機構は明らかではないが、ヒスチジンリッチプロテイン2がヘモゾイン形成を誘導するという報告も有り、ヘモゾインによる好中球活性化においてもヒスチジンリッチプロテイン2が間接的に関与している事が示唆された。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)