Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
地球内部の流体(水溶液)は,物質の粘性・強度や拡散の速さに大きく影響し,地球内部の動的過程を支配している.特に岩石の変形において,結晶粒界に存在する流体の連結度などは,それを介しての物質移動(拡散や浸透)を大きく左右し,結果として岩石の変形速度や断層運動さらには地震活動に大きな影響を及ぼしていると考えられている.そこで,ここではまず,流体の化学組成や温度なとが流体の構造やぬれにどのように影響するかを,主に赤外分光法によって調べた. 昨年度の人工水溶液の赤外分光測定結果に基づき,今年度は岩石試料中流体包有物を加熱顕微赤外分光法によって測定した.まず過去の地震発生帯と考えられるギリシャ・ティノス島変成岩中の流体包有物を加熱測定したところ,NaCl流体とCO_2流体の赤外吸収ピーク位置は,室温では約20cm^<-1>程度の差であるのに対して,250℃では約80cm^<-1>程度の大きな差を示した.この事は,地下の現場での流体の水素結合から見た性質が大きく異なる事を意味し,ぬれ特性が大きく異なる事を示唆する.実際,断層せん断帯ではNaCl流体が,それ以外ではCO_2流体が卓越しており,これらの流体のぬれ特性の差が岩石変形や断層運動に大きな影響を及ぼしている可能性がある. 一方,現在の地震発生帯パプアニューギニアでの地質調査は困難が大きいため断念し,国際深海掘削計画で得られたボーリンクコア試料を入手して,上記と同様の顕微赤外測定を行った.その結果,流体の化学組成によって加熱による挙動が異なっていることが確認された. さらに,これら流体の化学組成とぬれ特性の関係を評価するために,石英などの表面への水溶液の接触角を測定し,流体の構造と性質(かたさ,やわらかさ)との関係を調べた. 現在,これらのデータを総合して,流体の岩石へのぬれ・物質移動特性を考察し,投稿論文を準備しているところである.
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