Project/Area Number |
03J00137
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
生態
|
Research Institution | The University of Tokyo (2005) University of Tsukuba (2003-2004) |
Principal Investigator |
柴尾 晴信 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手
|
Project Period (FY) |
2003 – 2005
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
|
Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
|
Keywords | ハクウンボクハナフシアブラムシ / 社会性昆虫 / 兵隊階級 / コロニー防衛 / 齢差分業 / 死体認知フェロモン / 警報フェロモン / 警報シグナル / 真社会性昆虫 / 仕事転換 / (E)-β-ファルネセン |
Research Abstract |
本研究は、社会性アブラムシをモデル系として、社会性昆虫類のコロニーにおける労働分業の制御メカニズム、とりわけ労働分業の成立基盤となる化学シグナルの認識と社会行動の発現機構の解明をめざすものである。研究材料は、不妊の兵隊階級を産出するゴール形成性のハクウンボクハナフシアブラムシTuberaphis styraciである。本種の兵隊は、若いうちはゴール(巣)の掃除(内役)を行ない、老齢になるとコロニーの防衛(外役)に専念するという齢差分業を示す。前年度までに、本種において掃除行動や攻撃行動を解発する2種類のフェロモン(死体認知フェロモンと警報フェロモン)を同定し、ともに兵隊を動員する機能があることを明らかにした。今年度は、本種の兵隊の動員時において、ゴールの匂い成分が重要な役割を果たすことを明らかにした。GC/MS分析により、ゴールの匂い成分として、青葉アルデヒドや青葉アルコール、リナロールなどを同定した。このうち、青葉アルデヒドであるE-2-ヘキセナールは、アブラムシの警報フェロモンの働きを強めることが分かった。さらにE-2-ヘキセナールは単独でも警報フェロモンと同様の生物活性を示し、生殖個体には逃避行動、兵隊には攻撃行動を解発することが判明した。一方、リナロールは、単独では生物活性を示さなかったが、警報フェロモンの働きを抑制する効果を持つことが分かった。触角電図(EAG)法を適用したところ、本種の兵隊は、日齢によって受容能は異なるものの、フェロモンとゴールの匂いのブレンドを末梢(触角)のレベルで識別できることが明らかになった。これらの結果から、E-2-ヘキセナールは、ゴールが破壊されたときに傷口から放出される警報シグナルであり、警報フェロモンと併せて、コミュニケーションに用いられているものと考えられた。また、リナロールはもともとのゴールの匂いであり、警報の発令時におけるゴール内部の混乱を和らげる機能があるものと推測された。本種の兵隊は、「フェロモン」と「巣の匂い」を巧みに利用することにより、柔軟かつ洗練された社会分業を実現しているものと考えられた。
|
Report
(3 results)
Research Products
(14 results)