Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本年度は,足尾山地東部のチャート山地,砂岩山地,房総半島鹿野山の砂岩地域,泥岩地域,および阿武隈山地・花岡閃緑岩地域における降雨流出観測を継続した.また,上記の5地域それぞれにおいて10-30個の河道発生点における勾配,集水面積,標高を測定した. 水文観測データをもとに統計解析を行った結果,5つの調査地域で降雨流出特性が大きく異なっていた.これら地域における降雨流出特性の差異は,基盤岩の透水性の違いに起因するものと考えられる.また河道発生条件は降雨流出特性と大きく関係していることが明らかとなった.例えば,足尾山地東部のチャート山地では5地域の中で最も降雨ピークに対する流出応答が明瞭であり,河道発生点における集水面積と勾配との間では最も明瞭な負の相関関係が得られた.このことは土層中における地中水流出が集水面積に依存した河道発生プロセスをもたらしていることを示唆している.逆に房総半島の砂岩流域では,降雨ピークに対する流出応答は不明瞭であり,年間を通して安定した地下水流出が湧水を涵養していることが明らかとなった.一方,河道発生点における集水面積と勾配との関係は5地域の中で最も不明瞭であった.その他の3地域の観測結果を総合すると,地下水の影響が大きくなり,流出が安定するにつれて,河道発生における集水面積の効果が弱くなるという傾向が見られた.さらに,地下水の影響が大きくなるにつれて,河道発生は標高の影響を強く受けることが示唆された. 本研究成果により得られた足尾山地東部チャート地域の河道発生モデルについては,現在国際学術雑誌において査読中である.また,本報告に記載した内容に関する論文を執筆している.
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