ミトコンドリア遺伝子疾患モデルマウスを用いた病態発現機構の解明
Project/Area Number |
03J00342
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
遺伝
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 晃嗣 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助手
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Project Period (FY) |
2003 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 分子細胞遺伝学 / ミトコンドリア / ミトコンドリアDNA(mtDNA) / ミトコンドリア病 / 病態モデルマウス / 遺伝子治療 / 核移植 / ミトコンドリアDNA (mtDNA) |
Research Abstract |
近年、ミトコンドリアDNA(mtDNA)突然変異がミトコンドリア病と総称される疾患の原因となっているだけでなく、糖尿病やパーキンソン病、老化といった疾患や現象にも関与しているという報告がなされている。しかしmtDNA突然変異と疾患との直接の因果関係については不明瞭な点が多く、その理解のためにはモデル動物を使用した個体レベルでの観察が必要である。本年度は病原性欠失型mtDNAを有するミトコンドリア病モデルマウスであるミトマウスにおいて、病態の治療を目的として研究を行った。 ミトコンドリア病の治療法としては、現状、呼吸鎖酵素の基質やビタミン類の投与などが行われているが、このような方法では根本的な原因である変異型mtDNAを取り除くことはできない。そこで着目したのが、卵に対する出生前遺伝子治療である。mtDNAは母性遺伝するため、変異型mtDNAを保有するミトコンドリア病の母親から生まれる子供もミトコンドリア病を受け継いでしまう。しかし、卵において欠失型mtDNAの割合を減らすことができれば、生まれてくる子供のミトコンドリア病の諸症状を抑制できる可能性がある。そこで、ミトマウスの受精卵を用いてこの出生前遺伝子治療の可能性を検証した。 ミトマウス受精卵における欠失型mtDNAの割合を減らす方法としては,除核した正常なマウス卵(野生型mtDNAのみを含有する)にミトマウスの核を移植する方法をとった。 その結果、核移植によって誕生した個体では顕著な欠失型mtDNA含有率の減少が見られた。また、この欠失型mtDNAの減少によって、ミトマウスに特徴的なミトコンドリア病の諸症状は完全に抑制された。核移植を行わなかったミトマウスは8ヶ月齢程度で死亡してしまったのに対し、核移植を行ったミトマウスは野生型マウスと変わらない寿命を有していた。つまり、核移植によって生まれて来たマウスはミトマウスの核ゲノムを持つにも関わらず、欠失型mtDNAを微量しか含有しないため、ミトコンドリア病を発症しないのである。これらの結果から、受精卵核移植はミトコンドリア病の出生前治療において極めて有効な方法であると結論できた。
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Report
(3 results)
Research Products
(8 results)