Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本年度は、昨年度のドイツ・緑の党バーデン・ヴュルテンベルク州元代表に対するインタビュー調査の成果を踏まえて、さらに緑の党の関係者にインタビューを実施し、同州緑の党の特徴を明らかにした。同州はシュヴァーベン地方と呼ばれ保守的な農村地帯であり、同州緑の党は、ベルリンの緑の党と異なることが指摘されている。しかし農村地帯でオールタナティブ運動を代表する緑の党が成功している背景についてはこれまで触れられてこなかった。本年度は、緑の党の創設時から関係し、党の運動を率いてきた人びと5人に対しインタビュー調査を実施した。具体的にはバーデン・ヴュルテンベルク州緑の党の筆頭議員、広報、事務局長といった現在の運営を担う人たちから、かつて代表を経験した人の集まりである「代表会」の会長、緑の党の前身であるAUD主要メンバーの計5人である。インタビューの結果、対象者全員がこの州の緑の党創設時における人智学者たちの貢献を評価し、今では人智学者たちがもたらしたオールタナティブなアイデアがこの州の緑の党に普通に受け入れられていると指摘した。そして人智学がこの州で栄えたのは、この州の人びとが考えることが好きであるという「考える性格」が存在しているためと言及した。また「考える性格」の代表例として、シラーやヘーゲルなどの大思想家を挙げた。「考える性格」が人智学者のもたらしたオールタナティブなアイデアの受容に貢献し、ひいてはオールタナティブな運動である緑の党の成功要因になったことが明らかになった。また、ドイツにおける古典的有機農園であるデメタを運営する人智学者たちにもインタビューを実施した。2つの農園を回った結果、デメタがバーデン・ヴュルテンベルク州で栄えているのも、同州の「考える性格」が人智学の普及を促進し、オールタナティブな有機農法の浸透に貢献したことが判明した。
All 2006 2005
All Journal Article (3 results)
上智大学社会学論集 第30号(印刷中)
現代社会理論研究 第15号
Pages: 176-185
40007277148
名古屋大学社会学論集 第26号
Pages: 203-218
40007380706