Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
新規ミオシンファミリータンパク質をコードするMYO18B遺伝子は、ヒト肺がん細胞で高頻度に失活しており、新規がん抑制遺伝子である可能性が示唆されている。MYO18Bの個体における機能を解析する為、ジーンターゲティング法を用い、MYO18B遺伝子のプロモーターの下流にβ-gal遺伝子を挿入し、遺伝子欠損マウスを作成した。ヘテロマウスを用いたLacZ染色により、MYO18Bは骨格筋、心筋に強い発現することがわかった。MYO18B遺伝子のプロモーターの解析により、筋細胞におけるMYO18B遺伝子の発現に、転写因子MEF2が寄与することが示唆された。ヘテロマウス同士の掛け合わせにより得られる胎児の解析により、MYO18Bノックアウトマウスは、心筋細胞のサルコメア構造の異常により、受精後10-12日目に致死になることがわかった。以上の結果よりMYO18Bは心筋の発生・機能において重要な役割を担っていることが示された。MYO18B遺伝子産物の細胞内における機能を解析する為、MYO18Bの細胞内局在の解析を行った。細胞に導入したMYO18Bはアクチン鎖上および中心体に局在が確認された。更にMYO18Bのアクチン鎖及び中心体への局在に必要な部位を同定する為、MYO18Bの欠失変異体の細胞内局在を解析した。その結果、MYO18BのN末端側半分がアクチン鎖上の局在に、C末端側半分の領域がMYO18Bの中心体への局在に必要なことがわかった。NIH3T3細胞にMYO18BおよびMYO18Bの欠失変異体を導入したところ、MYO18B C末端側領域の過剰発現により中心体の数の増加が認められた。以上の結果より、MYO18Bは中心体の数を保つ機能を有し、MYO18B C末端側領域がドミナントネガティブに働くことによりその機能が阻害され、中心体の数の増加を引き起こす可能性が示唆された。