Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
90年代半ば以降、Dブレーンや双対性をキーワードとして超弦理論に対する理解は大きく進展した。しかし超弦理論の強結合領域がどのような物理で記述されるかは未だに謎であり、この問題を理解する上で重要なのがMブレーンを基本的物体とするM理論である。M理論はMブレーンを量子化して摂動的に構成されると期待されているが、現段階ではこの試みは上手くいっていない。従ってM理論の研究においてはその低エネルギー有効理論である11次元超重力理論を用いた解析が主流である。超重力理論の枠内ではMブレーンは重力場やU(1)ゲージ場のソース(ブラックブレーン解)として記述される。これらのブラックブレーン解はM理論を用いてブラックホール力学を理解する上で非常に重要である。しかしながらM理論の摂動論が完成してMブレーンの散乱振幅が計算可能となった場合、それらの結果から超重力理論は高次微分を含む項によって補正を受けると考えられる。これはM理論と超弦理論が双対性で結びついていることと、超弦理論における4つの重力子の散乱振幅がノンゼロであることから容易に予想されることである。具体的な補正項の形としてはリーマンテンソルの4乗の補正項(R^4項)が存在することが予想される。このような補正項はM理論におけるブラックホール力学に重大な影響を及ぼすと考えられるが、今のところ完全な形、特にU(1)ゲージ場に関する補正項は未だ完全には導出されていない。以上の観点から、私はM理論の有効作用を構成する研究は非常に重要であると考えており、この有効作用のうちR^4項の部分を用いて完全に決定した。この研究の成果としては、局所超対称性を明白にした形で作用を構成できたこと、および作用と超対称変換の形を成分の形で具体的に書き下せたこと、が挙げられる。なお計算を実行するに当たって私は独自のプログラムを構成した。
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JHEP 0602
Pages: 68-68
Mod.Phys.Lett.A 20
Pages: 1859-1859
Nuclear Physics (in press)
Nuclear Physics B696
Pages: 251-251