レチノイン酸不活性化酵素CYP26ファミリーによる形態形成の制御
Project/Area Number |
03J04397
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
発生生物学
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上原 雅行 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2003 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | レチノイン酸 / Cyp26 / CYP26C1 / CYP26A1 / RARE-lacZ / CYP26 / CYP26A1遺伝子 / CYP26B1遺伝子 / CYP26C1遺伝子 |
Research Abstract |
ビタミンA誘導体であるレチノイン酸(以下RA)はわれわれ生体において非常に多様な生理作用をもつが、胚発生においても極めて重要な働きをもつ。細胞内のRA濃度は、RA合成酵素であるRALDHなどによる合成反応と代謝酵素であるCYP26と呼ばれるP450による分解反応のバランスで決められる。我々は、RAの代謝酵素を通して、(1)生体におけるRAの役割、とくに胚発生・器官形成における役割、(2)RA濃度や分布が生体内でいかに制御されているか、などを明らかにしたいと考えている。本研究では、(Cyp26cl(以下cl)の欠損マウスおよびCyp26al(以下al)、とclの二重欠損マウスを作製しこれを解析することで、頭部形態形成におけるclの機能を明らかにした。 RAによる催奇形性作用による頭部低形成の原因は、様々なモデル動物を用いた薬理学的かつ実験発生学的な移植・破壊実験や細胞追跡実験によって、前後軸情報異常に伴うホメオティック・トランスフォーメーションによる神経堤細胞の異所的移動や、その結果生じた終脳領域の神経堤細胞減少によってもたらされる吻側神経菱の機能異常などで説明がなされていた。私が行った遺伝子破壊マウスという遺伝学的な操作による生理学的条件下での解析結果では、RAによる頭部低形成は前後軸情報の撹乱に加え、神経堤細胞の上皮-間充織転換による脱上皮化抑制が主要な原因である事が示された。この仕事は、古典的な実験発生学的手法で主張されていた中枢神経系へのRAの持つ作用が決して薬理学的な非生理的現象ではなく、生理的にも中枢神経系でRAが過剰になる事を回避する機構がきちんと備わっている事を証明し、発生生物学的にも大変に意義のある研究結果である。 また、神経堤細胞における上皮-間充織転換による脱上皮化をRAが抑制するという新しい知見は、今後のさらに詳細な細胞生物学的・分子生物学的解析結果が悪性腫瘍の転移の抑制などにも応用が期待され、大変重要なものと言える。
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Report
(3 results)
Research Products
(1 results)