Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
前年度に行った研究より,サルが他者の失敗行動を観察する際,他者が誰かによって,失敗行動を利用して成功するやり方を導き出すか,自分本来のやり方を通すかが異なる可能性がある,という結果を得た.この結果より,サルは他者の同じ行動であっても,その他者が誰かによって行動の解釈を変えていることが示唆された.ヒトは対面場面において,親切な人,信頼できる人,意地悪な人,嘘をつく人,といったように,他者の行動特性や行動傾向を基にした他者の評価を行い,その評価に応じた対応をすることができる.ヒト以外の霊長類も,他者の過去の行動から,その他者特有の行動特性や行動傾向を抽出し,コミュニケーションに役立てているのだろうか.以上のことを踏まえ,本年度は,サルが,「公平な訓練者」と「不公平な訓練者」を弁別し,それぞれに異なる対応をするかどうかを調べた.実験はヒトとサルが対面する形式で行った.サルとヒトの間には2つの餌箱があり,一方には,サルが好きなレーズン2個と固形飼料2個.もう一方には,サルが嫌いなピーマン2片と固形飼料2個を入れた.サルは餌箱を操作して餌を箱から出すことはできるが,取ることはできない.訓練者は,餌箱を操作することはできないが,出された餌を取ることはできた.「公平な訓練者」は,サルと平等に餌を分け与えるが,「不平等な訓練者」は,サルがどちらの餌箱を選択しても,固形飼料1つしか与えなかった.結果,3個体中2個体は,2種類の訓練者の違いを理解していることがわかった.また,うち1個体は,「不公平訓練者」に対して自分が嫌いなピーマンの入った餌箱を選択する傾向があることが示された.これらの結果より,サルも他者の行動傾向や行動特性に着目して,他者との対面場面において自身の行動を変えることが示唆された.今後,同種他個体との対面場面において,この能力がどのように発揮されるかを実験的に検討する計画である.
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