Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
幼児の音韻的作動記憶を非単語反復課題を用いて検証した。本研究では,平成15年度ならびに平成16年度において,既に,非単語に付帯するプロソディック情報が,幼児の音韻的作動記憶成績を促進する事を明らかにしている。最終年度は,それらの結果をさらに,厳密に検証することとした。まず,非単語そのもののもつ3つの属性(発音容易性・知覚容易性・単語らしさ)を,約2000名の大学生を対象に明らかにした(調査1)。1006の非単語から,100の非単語をランダムに選出し,それらをもとに非単語反復課題を作成し,約60名の幼児に対して,その課題を課した(実験1)。非単語そのものがもつ属性と,幼児の非単語反復成績の相関研究を行うことにより,幼児の音韻的作動記憶のメカニズムを明らかにすることができる。結果,幼児の音韻的作動記憶は,単語らしさや知覚容易性と強く関連していた。この事は,幼児が生後数年の間に培った語彙知識が幼児の短期的な記憶活動を支えていることを示すものである。その後,発音容易性・知覚容易性・単語らしさの指標のうち,いずれかの指標が低い非単語をそれぞれ抽出した。それらの単語についてプロソディック情報を付加したものと付加しないものを作成した。それらの非単語についての反復課題を約60名の幼児に求めた(実験2)。その結果,すべての非単語についてプロソディック情報の効果が確認された。従来の研究では年長児について,その効果がみられなかったが,実験2において,その効果が年長児においても確認された。通常,年長児は,単語に付帯するプロソディック情報よりも,非単語そのものがもつ,長期的な知識を利用し,その保持を行っているが,3つの属性についてその情報が欠如した場合,プロソディック情報が,幼児の音韻的作動記憶を補足的に支える働きをすると結論づけることができる。
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