Project/Area Number |
03J04686
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅田 貴士 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2003 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 格子ゲージ理論 / クォークグルーオンプラズマ / チャーモニウム / 有限温度 / ハドロンスペクトラム / 格子QCD / スペクトル関数 / ハイパーファインスプリッティング |
Research Abstract |
今年度は主に(1)有限温度でのチャーモニウムのスペクトル関数とポテンシャルモデルの関係に関する研究と(2)チャーモニウムのスペクトルに関する研究を行った。 (1)に関しては非等方格子によって計算した相関関数からスペクトル関数を引き出す手法のテストと、それらの様々な系への応用を行った。クォークグルーオンプラズマ生成に重要な関連があるチャーモニウムに関して、0.8Tc(Tcは相転移温度)から1.8Tc程度までを調べて、相転移温度以下ではゼロ温度の場合と有意な変化が見られなかった事、相転移後では依然としてハドロン的なモードを示すピーク構造が見られ、その幅は温度と共に増大するが、質量はあまり変化しないことなどを発見した。これらの性質は従来のポテンシャルモデルによる予想とは大きく食い違い、実験で期待されているQGP生成のシグナルに関する描像に大きなインパクトを与えている。さらにこれらの手法を軽いクォーク質量領域に対して適用した研究も行った。 (2)に関してはQCD-TAROコラボレーションに於いてチャーモニウムの質量スペクトルに関する研究を行った。これまで格子QCD計算における大きな問題となっているチャーモニウムのhyperfine splittingの実験値との不一致の原因の究明を目的とした研究で、クエンチ近似の下でのあらゆる統計、系統誤差を考慮にいれて実験値に比べて30〜40%小さな値になることを示した。さらにクエンチ近似の他にもうひとつだけ考えられるOZI (Okubo-Zweig-Iizuka)則によって禁止されている非連結ダイアグラムのhyperfine splittingに対する寄与の計算を行った。重いクォーク領域での非連結ダイアグラムの見積もりは誤差を抑えるのがとても困難で、より軽いクォーク質量での計算からチャームクォーク質量への外挿を行うことによって、より信頼できる非連結ダイアグラムの寄与を見積もる事を可能にした。これらの結果非連結ダイアグラムの効果はとても小さいことが分かり、問題となっているhyperfine splittingの実験値との不一致は動的クォークの効果のみであることが強く示唆された。
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