Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
霊長類での四肢骨関節部の内部構造の多様性と,関節形態と荷重環境との関係を検討するために,関節部をpQCT(peripheral quantitative CT)で撮影して,種間比較を行った。骨格標本は50μmの精度で撮影し,観察には3次元画像を用いた。計測部位は上腕骨遠位部の小頭と滑車前部で,中央部矢状面における緻密骨と海綿骨の骨量,海綿骨の容積密度(BVF),骨梁の異方性とその方向を計測した。サンプルは約20種の現生中小型原猿類・真猿類を含み,これらの運動行動は多様である。いずれの種でも,骨梁は矢状面内で発達する傾向にあり,関節外面と直交している。ロリス科は体重に対して関節内骨量が大きく,緻密骨が厚いのに対し,Avahiでは緻密骨は薄く,BVFが低い。ここから,海綿骨容積よりも緻密骨の量やBVFが荷重への耐性維持に役立っていることが示唆される。オナガザル科でも関節容積は大きいが,これは海綿骨容積の増加によるためで,小頭では緻密骨が薄く,滑車ではBVFが低い。これらの結果から,緻密骨量と海綿骨構造が独立に荷重環境への適応に寄与していると考えられる。 また,初期真猿類との系統関係について論争があるアンフィピテクス科の新標本の記載を行い,その真猿類的形質特徴について検討を行った。この化石が産出したミャンマー中部のポンダウン相からは多くの脊椎動物化石が収集されている。初期真猿類が棲息した中期始新世の環境を推定するために,各分類群を専門とする研究者と共同で,ポンダウン相を中心とした化石相から出た脊椎動物の記載と系統解析を行った。系統解析や産出分布の検討結果からは,特に肉食性哺乳類(肉歯目)はテーティス海に沿って移動したことが明らかにされ,初期真猿類の拡散経路として示唆されていたアジア大陸南部から北アフリカへの地域で実際に哺乳類の移動が可能であったことが裏付けられた。
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