Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
今年度は,化石標本の模型作成・写真撮影,データ入力・解析,および論文の執筆を中心に研究を進めていった.国内の博物館およびミャンマーのヤンゴン大学および国立博物館において,化石標本の観察・写真撮影・計測を長期間おこなった.国内の学会(7月「日本古生物学会年会」,9月「日本地質学会」,2月「日本古生物学会例会」),国際古脊椎動物学会(10月,アメリカ)において研究成果を発表した.さらに,専門の学術雑誌に研究論文を発表した. 今年度の主な研究成果は以下の通りである. (1)始新世後半における東アジア南部の食肉性哺乳類相と東アジア北部のモンゴルのそれとの違いを調べた.モンゴルでは肉歯目のHyaenodon属が複数種産出しているのに対し,同時代のミャンマー・タイおよび中国南部ではこの属は産出していない.一方,モンゴルと同時代のタイ・ミャンマーでは食肉目のNimravus属が産出することでは共通している.このような動物相の相違・共通性は当時の東部ユーラシア地域の中での古環境・古気候・古生物地理の違いを反映していると考えられる. (2)兵庫県三田市に分布する神戸層群吉川層から新たに発見された2種類の哺乳動物化石の比較研究をした.一つは,偶蹄目アントラコテリウム科のBothriodon類似属の新種,もう一つは奇蹄目サイ上科のHyrachyus類似属であることが判明した.これらの種類が産出したことで,陸上性堆積物である吉川層の時代が中期始新世末〜後期始新世初めであることが決定できた.これは神戸層群の海生示準化石や放射年代測定の結果とほぼ一致しており,神戸層群はほぼ全体が始新統に含まれるということが示せた. (3)ミャンマーのイラワジ層から産出したマメジカとカリコテリウム類の化石の比較研究をした.マメジカ類(偶蹄目反芻亜目)の化石はDorcabune属,カリコテリウム類(奇蹄目)の化石はNestoritherium属類似属であることが判明した.これらの種類はイラワジ層からは初めて発見されたものであり,今後,イラワジ層の時代決定に大きな役割を果たすと考えられる.
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