権利主張と他者への敬意-敬意を涵養し、敬意によって実現される権利-
Project/Area Number |
03J05446
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
基礎法学
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吾妻 聡 京都大学, 大学院・法学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2003 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | ロベルト・M・アンガー / 権利制度の構想 / 権利批判 / 新しい社会運動 / 脱安定化権 / 批判的法学運動 / 「上からの改革」 / 「下からの改革」 / 権利批判と権利再構築 / 批判法学 / ラディカル・デモクラシー / 規範理論 / 障害学・障害者の社会運動 / モダニズム / ポスト・モダニズム / 権利再構築 / 承認の政治 / 尊重・敬意の感性 / 差異 |
Research Abstract |
本年度は、6月まで引続いてハーバード・ロー・スクールで在外研究を行い、1960年代以降、特にアメリカ法理論において展開されてきた、権利制度・ディスコースに関する批判、およびそれへの再批判の論争に関してより考察を深めた。そしてこの考察を基に、より良き社会に関する規範的議論に開かれた権利論再構成の必要性を主張する小論を学会誌『法社会学』に寄稿した。方法論・規範論の参照点は、これまでを引き継いで、ロベルト・アンガーの社会構造変革に関する法・社会理論である。アンガーが提示するより平等化され民主化された社会の実現、それを通した人間の可能性の十全なる開花というラディカルな理想は、私的領域をその主な実践の場とする「新しい社会運動」という市民社会変革の動きの中で、常に既に、芽吹いているということが本小論の1つの主張である。そこでは、平等主義的民主化を推し進めることとはつまり、既存の制度的構成を不断の批判に開示することでその自己改訂能力を高めることに他ならないことの論証を試みた。つまり、しばしばあまりにもラディカルであると評されるアンガーの「脱安定化権」という構想は、社会的制度構成、ひいてはそれに参加する人々の自己変革の可能性を最大化することを眼目としたものに他ならないのである。そして、より重要な今1つの主張は、社会構造変革的実践がいやしくも成功裏に行われるためには、アンガーが描くような社会変革に関する「マクロな」ヴィジョンあるいはプロジェクトと、草の根において展開されるより「ミクロな」運動(社会運動)とが、その理想において呼応し合い、実践において共同することが求められるということ、これである。「上からの改革」と「下からの改革」は、相互に批判を尽くしつつ、しかしある同一の方向性を目指して共同されねばならない。あまりにも単純素朴にすぎると受け取られるであろうこの洞察は、これまでどれほど真摯に思考され、社会運動の戦略としてどれほど深く考察されてきたであろうか、我々はこのことを問うことから始めねばならない。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)