Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
今年度新たに3台の望遠鏡のステレオ観測によって取得した超新星残骸RCW86のデータの解析を行った。ここで、3台の望遠鏡によるステレオ観測は始まったばかりであり、解析手法が確立されていなかったため、解析プログラムの整備が必要であった。まずは点源の標準ガンマ線天体(点源)である、かにパルサー/星雲の解析を行い、これまでのチェレンコフ望遠鏡観測による結果と矛盾のない結果が、我々の解析手法でも得られることを確認した。これをRCW86に適用する上では、かにパルサー/星雲が点源であるのに対しRCW86は視野で1度近く広がりがあること、かにパルサー/星雲の観測は天体を視野に置いたときに同一視野でバックグラウンドの見積もりを行うのに対してRCW86はバックグラウンドデータの観測を別途行う、という観測方法の違いがあること、の2点が考慮されなければならなかった。そこで次にRCW86とこれらの条件が一致する、超新星残骸RX JO852.0-4622の解析を行った。この天体はシェル構造を持ち、ガンマ線放射が確実となっている。RX J0852.0-4622の解析を行うことで、広がった放射に対する解析方法を構築していった。我々のグループでガンマ線放射を発見した天体であるが、このときは1台の観測によるもので、その放射は超新星残骸の一部からのものであったが、今回はステレオ観測でシェル全体からの放射をとらえることに我々としては初めて成功した。また、その放射量は、HESSというチェレンコフ望遠鏡のグループの出した結果と矛盾のないものであった。