Project/Area Number |
03J05960
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
物理化学
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
森 展之 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | フラーレン多価アニオン / 密度汎関数法 / 電子縮約密度行列法 / 微細構造テンソル / ヤーン・テラー変形 / 包接化合物 / 電子構造 / ONIOM法 / 局在スピン構造 / 多電子縮約密度行列 / スピン密度分布 / 電子状態 |
Research Abstract |
1、高対称種フラーレン多価アニオン類の基底状態の決定、及び微細結合定数の符号を予測する電子縮約密度行列法の開発^* 二電子縮約密度行列を用いて局在スピン構造の抽出と評価を行う新しい手法を確立し、3次元的に非局在化したスピン間の相互作用が重要であるフラーレンC_<60>及びC_<70>の励起三重項状態に適用してその符号を再現し、有効性を確認した。さらに、C_<60>及びC_<70>ジアニオン三重項状態、トリアニオン四重項状態について最安定構造及びD値の絶対符号を予測し、スピン密度分布及びヤーン・テラー変形に伴う分子構造の歪みとの関係を考察した。本手法では、フラーレンのように電子が3次元的に非局在化した系でスピン間相互作用を半定量的に評価できる。同時に、従来の半古典的な双極子-双極子相互作用モデルや円軌道運動モデルはスピン間相互作用の過度な単純化のために適当でないことを示した。※学術雑誌Journal of American Chemical Societyに投稿中。 2、カウンターカチオンを考慮したフラーレンC_<60>アニオン類のDFT法による分子軌道計算及び電子縮約密度行列法による電子構造の評価^* フラーレンC_<60>多価アニオン高スピン状態は溶液中でカリウム還元により得られるが、本研究ではカウンターカチオンであるカリウムの存在を考慮したDFT法(UB3LYP/6-31G^*)による分子軌道計算を行い、電子構造や分子構造に与える影響を考察した。KC_<60>二重項状態、K_2C_<60>三重項状態、K_3C_<60>四重項状態について最安定構造を予測し、電子縮約密度行列法により電子構造を評価した。その結果、K_3C_<60>四重項状態はヤーン・テラー効果による安定化を受けないためカリウムからの電子移動が起きにくいことが予測された。※学術雑誌Angewandte Chemie International Editionに投稿中。 3、C_<60>及びC_<70>高スピン状態のMP2法による分子軌道計算及び分子積分を解く微細構造テンソル計算^* ※第85回春季年会で発表 4、C_<60>(γ-CyD)_2^<2・->ジアニオン三重項種及び[C_<60>(γ-CyD)_2]_2^<2・->クラスター三重項種の多周波ESR及び理論計算による電子構造及び分子構造の解明^※ 窒素固定など新機能発現解明の鍵として注目される水溶性超分子C_<60>(γ-CyD)_2^<2・->ジアニオン三重項種、及びモノアニオン同士の巨大クラスター三重項種について、超分子構造及び電子構造を多周波ESR及びONIOM法、DFT法、電子縮約密度行列法により決定した。※学術雑誌Angewandte Chemie International Editionに投稿中。 5、NH_3-gasの高圧ドープにより生成したC_<60>(γ-CyD)_2^<・->モノアニオンのESR及び分子軌道計算による電子構造及び分子構造の解明^※ アンモニアガスを高圧下で結晶にドープすることで生成したC_<60>(γ-CyD)_2^<・->モノアニオンについて、ESRにより軸対称からのわずかなずれを検出した。ONIOM法(UB3LYP/6-31G*:UFF)による分子軌道計算を行い、分子構造がC_<60>の2回軸に沿ってヤーン・テラー変形する結果、包接空間内でD_2対称へと歪むと予想した。※学術雑誌Angewandte Chemie International Editionに投稿中。 6、新機な機能を発現する水溶性超分子C_<60>(γ-CyD)_2及びC_<70>(γ-CyD)_2包接化合物のONIOM法、DFT法による分子軌道計算^※ C_<60>(γ-CyD)_2の分子構造ついて、ONIOM法(B3LYP/6-31G^*:UFF)によりホスト分子によるファンデルワールス相互作用及び静電相互作用を考慮した分子軌道計算を行い、分子構造を予測した。また、DFT(B3LYP/6-31G^*)法により包接化による安定化エネルギーを見積もった。Takekumaらにより高純度化が進められているC_<70>(γ-CyD)_2について同様の手法で構造最適化を行い、分子の長軸方向に上下に包接化され、短軸方向にC_2軸を持つ構造を予測した。※学術雑誌Supramolecular Chemistryに投稿中。
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