Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究は,これまでの聴覚障害児教育において採用されてきた純音と語音に加え,楽音が聴能の発達や知的発達に果たす役割と機能を認知心理学と音響学と関連づけて実験的に明らかするための研究である。そこで,これまでにピッチや音色,リズムに関する音響分析と併せて健常児・者における聴能の基準値を求めるための聴取実験を行い,聴能の発達に関する基礎的知見を求めた。また,楽音の音系列が発達障害児における聴能の評価においても有用であることを学習障害児(以下,LD児)の臨床研究から明らかにした。本年度においては下記の研究を実施した。 1)これまでに実施した学習障害児およびADHD児を対象とした楽音の音系列を用いた聴取実験結果のデータ分析作業を行い,聴能の発達に関する基本的考察と聴覚活用の促進に繋がるアプローチ法を提案した。 2)これまでに引き続き,聴覚による短期記憶に困難さをもつLD児を対象に,楽音の音系列を用いて記憶保持に関する月1回の個別指導を行った。具体的には,LD児の聴覚記憶を促進できる音素材を作成し,対象児に提示する項目数や提示時間,提示順序などを変えながら,対象児の聴覚記憶を促すための具体的な支援方法を探った。そして,個々の聴覚活用の発達レベルの評価とその発達レベルに即した指導を行うための,具体的な指導プログラムの考案を試みた。 3)非侵襲的な脳機能測定法のひとつであるNIRS法を用いて,健常な成人を対象に楽音の音系列の聴取時における脳血流動態について測定し,その賦活部位を検討した。その結果,楽音の音系列の聴取時においては音声言語の聴取時とは異なる部位においても賦活が認められることをNIRS法において明らかにした。これより,楽音の音系列が聴覚障害児や軽度発達障害児における聴能の発達について,言語理解とは異なった視点から評価・支援可能な音響信号であることを示唆するデータを提供できた。 上記の本年度における研究成果は,OHBM(Organization for Human Brein Mapping),日本特殊教育学会,日本LD学会,日本心理学会,日本発達心理学会における関連諸学会の研究大会において発表した。これらの当該学会においては,今後に検討すべき研究課題について,具体的な議論を交わすことができた。
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