Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究の目的は、知覚学習に高次の視覚処理が関与しているかどうかを調べることである。知覚学習に注意や態度、記憶等のトップダウン的処理がどのように関与しているかはあまり良く知られていない。そこで、筆者らは同じ視覚刺激が同じ回数だけ提示されるように実験を統制した上で、運動検出課題と運動弁別課題では学習効果が異なることを示した(Koyama et al.2004)。両課題において提示された刺激は同じであることから、両課題における学習効果の相違は注意などのトップダウン処理に起因すると考えられる。さらに、筆者らは知覚学習が閾値以下の刺激に対しても成立することを示した(Seitz, Koyama et al.2005)。興味深いことに、この学習は同時に行われた別の課題においてターゲット刺激が提示されたときだけに生じていた。さらに、トレーニング期間終了後、刺激が全く提示されなかった時に、被験者はトレーニングに使用された運動刺激と同じ刺激を誤って知覚する傾向にあった。この研究によって、知覚学習が生じるためには、ターゲット刺激や報酬等によって脳が活性化される必要があることが示唆され、さらに、目に見えない刺激によっても知覚にバイアスがかかりうることが示された。また、運動視の学習へのトップダウン処理の関与を機能的MRIを用いて調べたところ、異なる種類の全体運動(放射状運動と直進運動)に対する低次視覚野(第3次視覚野)の反応が異なることが示唆された。このような脳活動はサルでは見られないことから、大脳皮質視覚野の進化を示す結果と考えられた。また、知覚学習におけるトップダウン処理の関与が、色や形の知覚でも起こっているかどうかについても検討された(Koyama et al.2006;Koyama et al.in preparation)。
All 2006 2005 2004 Other
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