Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究は,対人関係において"どうすることが普通か"と人々が捉えている内容を文化的表象(CRSR)として操作的に定義し,これについて検討することを目的とした.本年度は引き続き,4つの実証的調査研究を行った. 調査1(「一般の日本人」についての文化的表象と社会的望ましさとの関連):「一般の日本人」についての文化的表象と自己との評価に差があることは明らかになったが,2つの評価やその差異が"社会的望ましさ"とどのように関連するかについて検討するために,大学生を対象とした質問紙調査を行った.その結果,社会的望ましさの方がより強く自己の評定に影響を与えており,またその傾向は集団主義的傾向においてより強いことが明らかになった. 調査2(対人関係によるジレンマ場面方略の差異と文化的表象):過去の研究の問題点を統制するために,同じ場面で葛藤する相手のみ(家族,友人など)が異なる場面を用いた調査を行った.その結果3種類の場面(約束,援助,将来)すべて.において対人関係によって選択される方略が異なり,そのパターンは問題場面の性質によって異なった.ただし,"どうすることが普通か"について考慮する程度には3種類の場面で差は見出されなかった. 調査3(自他の葛藤についての文化的表象と行動との関連):CRSRと日常における実際の行動との関連について検討した.より具体的には,過去2週間における対人葛藤場面における自己を変化させる方略,他者を変化させる方略,相互協調的な方略,その他の方略の使用頻度と,"普通はどうするか"についての表象との関連について検討した.その結果,表象と実際の対人葛藤方略との間に強い関連は見出されず,部分的にわずかな相関のみが見出された.なお,CRSRや対人行動方略においては,特に家族との関係において男女間の差異が見出された. 以上のことから,CRSRとして操作的に定義した表象と対人行動には強い関連は見出されなかったが,「社会的望ましさ」などとは異なる「普通」についての表象があること,また,CRSRがジェンダーによって異なって共有されていることが示唆された.
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