Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
本研究では、居留地起源型の国際貿易都市である神戸を対象地として、当地における欧米系住民、特に居留地時代から神戸に積極的に進出していたドイツ系住民に焦点をあてる。 まず、居留地発祥当初のドイツ系居留民の進出状況、商業活動、文化活動を概観しながら、神戸におけるドイツ人社会の成り立ちとその形成過程を明らかにしてきた。また、在神戸ドイツ商人の子息のための教育機関として設立され、住民自らが運営に携わった神戸ドイツ学院(Deutsche Schule Kobe)の変遷を追いながら、学校設立、運営の社会史的側面像を映し出していく。そして,ヒトラー政権成立以後の神戸のドイツ人社会の諸相を共同体のレヴェルまで下降して検討してきた。そこから,在留ドイツ人社会のナショナリズム,ナチ・イデオロギーの国民一人一人への浸透度,地域社会の複雑な人間関係,あるいは日本との友好関係がはらむ問題性を照射した。 米国を主体とする占領軍上陸後,ナチ党組織の幹部や政府関係者の逮捕・抑留,事業停止,資産凍結及び没収,そしてナチスの戦争遂行,戦争経済を支えたとされる「銃後の人々」の本国送還が実施された。占領軍は,ドイツ人の送還者を選別する際,「好ましいドイツ人」と「好ましからぬドイツ人という範疇を示し,この分類により送還の必要性とその優先度が決定された。この本国送還に帰結した米国の対ドイツ政策は,「ナチズムの清算」として着手されたともいえる。米国が主導した占領政策においては、日本におけるナチ党組織及び党関連団体の活動やドイツ系住民とナチズムとの関わりがどのように検証され,処遇が下されたのだろうか。米国の日本における「非ナチ化」政策の意図,その評価を検討してきた。(「GHQ占領下における『ナチズムの清算』」『人間文化論叢』第6巻,2004年,293-301頁)
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