Project/Area Number |
03J06987
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
哲学
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小笠原 史樹 東北大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 中世哲学 / トマス・アクィナス / 神の全能性 / ビュリダン / スコラ哲学 / 中世論理学 / 創造論 / パリ大学学芸学部 / 新プラトン主義 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、中世キリスト教的創造論と新プラトン主義的流出論との比較検討、及び、中世哲学と現代宗教哲学との比較検討を課題として研究を進めた。その結果、特にトマス・アクィナスの全能論に即して、1.神の善性・完全性と全能性の関係について、現代的な諸議論の多くが「前者が後者を制限する」ということを素朴に前提しているのに対し、中世哲学的な諸議論においては存在論的・創造論的な構造として「前者が後者の根拠である」という前提が見出される、2.したがって、中世哲学と現代宗教哲学は、神の善性・完全性・全能性等に関して全く異なる前提に立っているのであり、両者の比較検討に際しては、それら自明の諸前提を主題化し直すことが必要とされる、3.なお、当該の中世哲学的な前提は新プラトン主義的な諸理論と非常な親縁性を有している、という三つの結論が得られた(2004年10月の中世哲学会大会において、以上の成果の一部を「トマス・アクィナスの全能論」として口頭発表した)。また、上述の課題と平行し、特にビュリダン『論理学綱要』・『ソフィスマータ』の読解作業を中心として、十四世紀パリ大学学芸学部の論理学を検討した。その結果、ビュリダンを安易にオッカムの延長線上に位置づける従来の整理に反して、ビュリダンの論理学においては、オッカムとは異なる種々の形而上学的・神学的構造に即して意味論・真理論が展開されているのであり、ビュリダンを単なるオッカム主義者とする整理は不適切である、という知見が得られた。
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