Project/Area Number |
03J07180
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
食品科学・製品科学
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
玉 正浩 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 糖尿病 / グリケーション / アマドリ型糖化脂質 / 膜脂質過酸化 / Amadori-PE / 膜脂質過酸化反応 |
Research Abstract |
糖尿病における特徴的な高血糖状態の持続により、糖尿病性合併症の発症要因として糖化反応(グリケーション)が提唱されている。グリケーションは、タンパク質のアミノ基と還元糖のカルボニル基の親水性分子同士間の反応であり、糖尿病性含併症だけでなく、老化や動脈硬化などの加齢疾患でも亢進すると言われている。近年、生体膜を構成しているリン脂質のひとつで、第一級アミノ基を有するホスファチジルエタノールアミン(PE)がグリケーションを受け、アマドリ型の糖化ボスファチジルエタノールアミン(Amadori-PE)を生じる可能性を指摘されている。試験管内の実験では、Amadori-PEの生成が糖濃度と相関したため、糖尿病での高血糖による細胞障害への関与が推定される。したがって、ヒトの血液や組織標本にAmadori-PEが存在し、それを定量する技術ができれば、過去にない生体膜の新しいグリケーションの指標が確立できると考えられた。しかし、脂質糖化産物の標品作製に未だ成功していないこと、またヒトの血液や組織における糖化脂質の存在が証明されていないことが現実である。 本研究では、まず糖化脂質の標品としてのAmadori-PEを高純度かつ多量調整できる反応系を確立しようとした。その結果、最適の反応合成条件(メタノール中の反応系)を探し、反応したPE(100mg)の約50%がAmadori-PEに変換され、約20mgの高純度のAmadori-PEを得ることが可能になった。また、超高感度なリニアイオントラップ型ハイブリッド質量分析装置(4000Q TRAPTM、Applied Biosystems)を用いて健常人と疾病者の血漿Amadori-PEを定性・定量分析し、ヒトの血漿におけるAmadori-PEの存在を構造化学的に初めて証明した。また、血漿のAmdori-PE濃度が高いと、過酸化リン脂質(PCOOH)濃度も高値となった。したがって、糖尿病などの高血糖状態においては、膜脂質の糖化反応が惹起され、この糖化脂質が原因となって、膜脂質過酸化を誘発し、糖尿病の増悪化および合併症に深くかかわることが示唆された。
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