Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
これまでの代表者の研究により、ツチガエル(Rana rugosa)は季節の進行と共にその出生性比を変化させることが明らかないなったが、その生態的原因は、いまだ明確に突き止めるに至っていない。この問題に対し、雌雄の生活史の差が出生時期によって異なるその後の成長を規定していることを実証し、最適性比を経時的に変化させる究極要因を明らかにするのが本研究の目的のひとつである。本年度は、静岡、新潟の両集団で、繁殖期を中心として齢査定のために現地調査を実施し、標識再捕をおこなった。各集団で一定期間ごとにツチガエルの個体を採集し、体サイズを測定するとともに、その足指の一部を切り取り液浸固定して研究室に持ち帰った。足指の切り取りはそのパターンにより個体識別をするためであり、持ち帰ったサンプルは切片標本を作成し齢査定を実施した。これにより標識個体の齢を調べ、雌雄で異なる調査集団の齢構造を解明するのが狙いである。現在複数年分のサンプルのデータ解析を進めており、年変動の様子と繁殖地の気候との関係について解析を継続しておこなっている。平行して画像解析により幼生の成長速度を定量測定するシステムの開発もおこない、短時間に大量のサンプルを効率よく処理する手法の開発を継続している。実証データの収集とともに、理論的側面からの解析も進めており、数理モデルを構築して齢構造をもつ集団での最適性比が季節的に変化する条件を解析的に求め、こういった形質の進化を引き起こす可能性を明らかにすることができた。これらの結果は論文にまとめ投稿しているが、審査の過程で編集者から指摘された問題点を改良することにより、一層頑強なモデルを構築することができた。
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Evolutionary Ecology Research 8
Pages: 1-14
Evolutionary Ecology Research (Accepted)