Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
生物集団が保有している遺伝的変異と遺伝構造に関する知見は,生物多様性を生み出す進化ポテンシャルを適切かつ効果的に保全していくために重要である.我々は,生物の適応進化と遺伝的多様性の維持機構を明らかにする目的で,種多様性の著しく高い熱帯雨林生態系の主要構成樹木であるフタバガキ科を対象にした遺伝的変異を調査した.本研究では,同所的に生育するショレア属近縁4種ついて複数個体のDNAを採集し,4核遺伝子座および1葉緑体遺伝子座の塩基配列を決定した.核遺伝子座の平均塩基多様度はサイレントサイトあたり0.0068-0.0162であった.遺伝子系図は遺伝子座間で異なり,すべての遺伝子座で別種の遺伝子がクラスターする例が見られた.最尤法によって,種分化後に起こった遺伝子交換の程度,祖先集団の集団サイズ,およびこれら近縁種の分岐年代を推定した.この結果,近縁種間では種分化後に遺伝子交換が起こったこと,祖先集団の集団サイズが現存種のものより小さいことがわかった.また,近縁種の分岐年代は200-300万年前と推定された.本研究は,熱帯雨林構成樹木のDNA配列レベルでの遺伝的変異量を推定した初めての例であり,熱帯雨林構成樹木は各種の個体群密度が非常に低いにもかかわらず,自然集団内の遺伝的多様性はこれまでに調べられている温帯の広域分布種をそれほど変わらないことを示した.また,過去に起こった遺伝子交換が遺伝子系統樹の不一致の原因となることを明らかにした.
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