Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
3次元多様体のKauffman bracket skein module(以下KBSM)とは,基本群のSL(2,C)指標空間の"自然な非可換化"として捉えることができる多様体不変量である.特に,"よい"性質をもつ3次元球面内の結び目に対しては,その補空間のKBSMの情報から,元の結び目のcolored Kauffman bracketsが再構成されるため,任意の結び目に対して,その補空間の大域的情報を用いたcolored Kauffman bracketsの再構成の枠組みが期待されており,近年注目を集めている体積予想との関連を考えても,非常に興味深い研究対象である. さて,上記KBSMは非常に豊富な代数構造を持っている.実際,ハンドル体のKBSMにおいてgenusの周りの結び目を0にしたもの(以下簡約KBSM)は,その部分代数にLie環su(2)の構造が自然に入ることが,今年度の研究でわかった.特に,種数3のハンドル体に対しては,簡約KBSMはsu(2)と同一視できる.これはKBSMと他の代数的対象との新たな関係を示す一例である.しかし,その反面,KBSMの代数構造の決定は非常に難しく,計算効率は非常に悪い.但し,J. Przytycki氏の手法(*)から,比較的単純な結び目,例えばトンネル数が1の結び目については,その結び目外部を2-ハンドルとハンドル体に分解(以下2-ハンドル分解)したとき,2-ハンドルをハンドル体へ貼り付ける情報だけを調べれば,KBSMの代数構造を"本質的"に決定する関係式が導かれることがわかる.今年度初旬のR. Gelca氏との共同研究では,twist knotの補空間のKBSMにおいて,上記の手法でKBSMに入る全ての関係式を実際に公式化した.また,上記の手法(*)は,その計算量が結び目のトンネル数に依存しているが,KBSMの情報をより少ない2-ハンドルに圧縮するのではなく,結び目の組み紐表示から得られる結び目外部の2-ハンドル分解により2-ハンドル数をあえて増やし,関係式を見やすくする手法を提案した.
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