学習による複雑な発火パターンを伴う脳の情報表現の多重性と統一コーディング理論
Project/Area Number |
03J08028
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
工学基礎
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
増田 直紀 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, PD特別研究員
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 同期 / 学習 / ニューラルネットワーク / 発火率 / 振動 / 固有周波数 / 積分型ニューロン / 遅延 |
Research Abstract |
脳内神経活動の研究では、実験面からも理論面からも、単一ニューロンの活動の解析と、ニューロン集団の完全同期と完全非同期が起こる生理学的状況や数理的条件に注目することが多い。しかし、実際には同期と非同期の中間のクラスター状態が存在し、見えている物体の位置推定や、1つの対象が持つ2つ以上の属性のバインディングなどの機能に関わっていると考えられている。そこで、我々は、完全同期を例として含む形で、クラスター生成の結合構造依存性、シナプス学習依存性、その分子生物学的機構に関する解析を行った。近年の生理実験によってシナプスは詳細な発火時刻に依存するSTDP学習を行うことが知られた。われわれは、STDP学習を入れた積分型ニューラルネットワークを解析した。既存のSTDPの研究は空間的にも時間的にも単純な入力を仮定していたが、自然な入力は時間相関をもち、空間的にも非一様である。そこで、本研究では、数学的厳密性より現象の記述を優先して、生理学的に妥当な単純化をいくつか行って、自然な入力の場合の数理構造を明らかにした。具体的には、複数の入力に反応して、各入力をコードするようにニューロン集団が小集団に分れるような自己組織化したクラスター発火が起こることがフォッカー・プランク方程式を用いた解析と数値計算で示された。入力の種類の数と同じだけクラスターが現れ各クラスターが集団発火率コードによって各入力をコードする場合、入力のうち相関の強いものだけがネットワーク全体の同期によってコードされる場合、相関の強い方の入力は部分同期、弱い方の入力は発火率によってコードされる場合など、いくつかの動的状態が混在することを示した。これらの各状態は、古典的な発火率コード、80年代後半から実験で確認されてきた同期コード、90年代に提出されて今も盛んに議論されているシンファイア・チェインなどを含む包括的な枠組みである。成果は計算脳科学で評判の高い国際誌に発表された。 また、我々の先行研究では、大脳皮質を模した層状ネットワークについてフィードフォワード型結合がある場合のみを扱ってきた。そこで、STDPとは別に、大域的なフィードバックがあるネットワークの解析を行い、フィードバックが同期を増強することを示した。成果は国際会議と国際誌に発表された。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)