Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
高分子結晶化のメカニズムの最も重要な未解決問題は、結晶化初期過程である核生成における高分子鎖のトポロジー的本性の役割の実体解明である。本研究では、流動場における繊維状結晶の核生成・成長メカニズムの解明と核生成速度をプローブにして高分子鎖がいかに絡み合いを構築するかの検証を行った。1.流動場における繊維状結晶の核生成・成長メカニズム本研究では、流動場特有の繊維状結晶の生成速度の過冷却度依存性から、「流動場の高分子鎖は融液中の異物近傍で局所的に伸長されることによって配向融液となり、その配向融液から分子鎖が束状になったbundle核が生成する」ことを明らかにした。また、繊維状結晶の成長速度の過冷却度依存性から、流動に沿った方向の成長は「分子鎖の再配列」過程、流動に垂直な方向の成長は「表面2次核生成」律速過程であることを明らかにした。同時に、流動場における核生成・成長の臨界ずり速度の発見から、結晶と融液界面における分子鎖形態を明らかにした。2.核生成速度をプローブにした高分子鎖の絡み合い過程の解明絡み合いを解かれた分子鎖が熱平衡状態に向かってどのように絡み合いを構築していくかはこれまで実験的に全く検証されていない重要な問題である。本研究では重合過程において結晶化させた試料を用いた。この試料の融解直後の融液は絡み合い密度がほぼゼロであり、この融液の融液保持時間を変えることによって融液中の絡み合い密度を制御した。核生成速度は融液中の絡み合い密度の増加とともに減少することを利用し、融液保持時間を様々に変えた融液からの核生成速度を測定することにより、融液中の絡み合い密度がどのように変化していくのかを検証した。その結果、融液中の絡み合い密度は融液保持時間の増加とともに2段階の指数関数的な増加を示し、絡み合いのない高分子鎖がいかに絡み合いを構築していくのかを明らかにした。
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Polymer 46・5
Pages: 1675-1684
Pages: 1685-1692