Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
申請者は前年度までに、Femaleの生殖腺におけるAhRの機能解析を行った。その結果、卵巣のgranulosa cellにおけるAhRの新規標的遺伝子として、Cyp19(aromatase)遺伝子を同定した。AhR遺伝子破壊雌マウスにおいては、Cyp19遺伝子の発現が十分に活性化されないため、卵巣におけるEstradiol合成が減少し、妊性が低下する。以上のことから、AhRがFemaleの生殖にとって極めて重要な因子であるということが分かった。本年度はMaleの生殖腺におけるAhRの機能解析を行った。AhR遺伝子破壊雄マウスの妊性を調べたところ、野生型と比較して僅かながら妊性が低下していることが分かった。妊性の低下の原因は精子形成の異常ではないかと考え、AhR遺伝子破壊雄マウスの精巣の観察を行ったが、精子形成は正常に行われていることが分かった。そこで、AhR遺伝子破壊雄マウスの副生殖器の観察を行ったところ、一部の個体において精嚢が消失していることが分かった。精嚢を消失しているAhR遺伝子破壊雄個体は、8週齢では見られないが、24週齢では約50%、32週齢では約70%と加齢に伴ってその割合が増加していくことが明らかとなった。雄の生殖能にとって精嚢が必要不可欠であるかどうか調べるために、精嚢を除去したマウスを作成し、その妊性について検討した。その結果、精嚢を除去した雄と交配した雌マウスが妊娠する頻度は、正常な雄と交配した雌に比べて顕著に低下することが明らかとなった。以上の結果より、AhR遺伝子破壊雄マウスは加齢に伴い精嚢が消失することによりその妊性が低下することが分かった。AhR遺伝子の欠失から精嚢の消失につながるメカニズムを分子レベルで明らかにすることが今後の課題である。
All 2005
All Journal Article (1 results)
Molecular and Cellular Biology Vol.25
Pages: 10040-10051