Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
Latrunculin A(ラトランキュリンA:海綿から精製される薬品:以下LAT-A)は、細胞生物分野で、アクチンフィラメントを崩壊させるために用いられる。しかし、その崩壊を引き起こすメカニズムは不明である。研究代表者は、TIRF顕微鏡を用いて、LAT-Aによるアクチンフィラメント崩壊の過程を実時間観察した。結果、LAT-Aはアクチンを切断するのではなく、アクチンフィラメントの両端に結合し、構造異方性を変えずに、両端の脱重合を促進させ、ADP-actinとほぼ等しい脱重合速度にすることが明らかになった。高濃度のLAT-A存在下では、少数ではあるが、LAT-Aはアクチンを切断していることも明らかになった。重合時にLAT-Aを加えた実験から、LAT-Aはモノマーアクチンに結合しやすいことが明らかになった。更にアクチンに結合しているヌクレオチドを変えることにより、LAT-Aは、特にATP-actinに結合しやすいことが明らかになった。以上から、LAT-Aによるアクチンの急速な溶解は、両端からの速い脱重合と、モノマーアクチンの働きを抑えることによるモノマー量の減少によるものであること、またその脱重合速度、結合解離定数が明らかにされた。加えて、これらのメカニズムが、アクチン内のATP加水分解が、LAT-Aによって促進されるために起こるのかを調べるため、リン酸放出の速度を計測した。その結果、LAT-Aによる脱重合の促進は、ATP加水分解の促進によるものではないこと、LAT-Aは、ATP加水分解なしにモノマーアクチンの働きを抑えることが明らかになった。アクチンとLAT-A複合体の構造から、おそらくLAT-Aは、アクチンの構造をATP-actinに保ったまま、分子ダイナミクスをフィラメントとしては不安定にし、アクチン分子同士の結合を抑制することが示唆された。
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