知の神話-ポール・ヴァレリーにおける科学的思考の誕生と進化(1880-1920)
Project/Area Number |
03J08868
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
仏語・仏文学
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
木村 正彦 東京都立大学, 人文科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | ポール・ヴァレリー / 科学 / フランス文学 / 草稿研究 / カイエ / レオナルド・ダ・ヴィンチ / 相対性理論 / 量子理論 / 間テクスト性 / 生成過程研究 / ジュール・ヴェルヌ / ポワンカレ |
Research Abstract |
科学が思想家に及ぼす影響とはどういうものなのか、また科学者の思考と思想家の思考の境界線はどこにあるのかといった問題を考えるという目的で、フランスの作家ポール・ヴァレリーの19世紀末から20世紀初頭にかけての科学的思考の進歩と変化を研究してまいりましたが、本年度はまず、フランスの国立図書館に保存されているヴァレリーの1895年発表の作品「レオナルド・ダ・ヴィンチの方法の序論」の草稿のコピーを入手して研究いたしました。この作品の中でヴァレリーは芸術家の精神活動と科学者の精神活動の類似性などについて論じていますが、このたび草稿のコピーを分析した結果、ヴァレリーがきわめて綿密な計画を練ってから執筆に着手したこと、とりわけ導入部の1、2ページは何回も書き直したことなどの創作過程が明らかになりました。 他方で、昨年度はヴァレリーの1880年代から1900年代にかけての科学思想の受容を研究したことから、今年度は彼の1910年代の思想の受容を調べました。この時期、科学者の間で相対性理論や量子理論が熱心に議論されましたが、ヴァレリーが新しい理論にいちはやく興味を持ち、それに関連して時間や空間や原子について多数の考察をしていたことがわかりました。またそういった物理の知識から精神の領域を解明しようとしていたことも見受けられました。しかし、20世紀の物理は想像困難で予測不可能な世界観を提示し、時間や空間の観念を一変させてしまったことから、ヴァレリーが知の将来についてだんだんと懐疑的になっていったこともわかりました。 この時期に発表された作品は数多くはありませんが、ヴァレリーはみずからの思索を一貫して「カイエ」-ノートブック-に記していたのでこれを研究いたしました。この時期の「カイエ」はまだ活字で出版されていないので、フランス国立科学研究所出版の複写版を読解いたしました。 (784字)
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)