Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
1.平成一七年度は当初、すでに昨年度末に一旦脱稿した新著「マックス・ヴェーバーとドイツ国民国家--ドイツ・ナショナリズムに関する一試論」の手直しをしていたが、七月以降は研究環境の著しい悪化により中止した。同論文は愛知県立大学に赴任したのちに改稿して、平成一九年度中に刊行する予定である。2.「マックス・ヴェーバーとドイツ国民国家」の作業を脇に置いて取り組んだのが、長くお蔵入り状態であった「ボグダン・フォン・フッテン=チャプスキとプロイセン愛国主義--あるポーランド人貴族による「上から」の秩序構想」の執筆である。これは平成』八年一月のドイツ出張での補充的史料蒐集を踏まえて、本年度末に脱稿する予定で、平成一八年度、あるいは一九年度の刊行を予定している。3.マックス・ヴェーバー研究の副産物として、本年度は二つの作品を仕上げた。一つは以前ドイツで刊行した安藤英治蒐集のヴェーバー史料の邦訳で、岩波書店より単行本として刊行した。もう一つは拙著『マックス・ヴェーバーとポーランド問題--ヴィルヘルム期ドイツ・ナショナリズム研究序説』(東大出版会、2003/Nomos Verlagsgesellschaft2004)に対する肥前榮一の異論に応答したもので、平成一八年秋に政治思想学会の学会誌『政治思想』に採用され、近刊の予定である。4.オットー・フォン・ビスマルクについては、遺憾ながら本研究員任期中にまとまった成果を得ることができなかった。しかし一部翻訳を進めているビスマルクの回顧録『思索と回顧』を用いて、平成一八年度夏学期に愛知県立大学で演習を行う予定なので、この演習の準備と合わせて今後研究を進めて行きたい。5.以前から企画していた吉野作造研究、オットー・ヘッチュ研究についても、本研究員任期中に一次史料を蒐集し始めながら未成熟なままで終ってしまった。ただ前者に関しては刊行を勧誘されているので、『吉野作造とドイツ』と題して小著を執筆してみたいと思っている。6.自主的な研究とは別に、実質的に東京大学法学部の紀要である『國家學會雑誌』(有斐閣)の「学界展望--ヨーロッパ政治史」欄に書評を依頼されたので、ドイツの歴史家ハンス=ウルリヒ・ヴェーラーの概説書『ドイツ社会史』第四巻に対する論評を掲載した。
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國家學會雑誌 118巻11・12号
Pages: 108-111