ジシアノ鉄フタロシアニンを用いた、機能性有機薄膜・有機結晶の作製とその物性研究
Project/Area Number |
03J10522
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
機能・物性・材料
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 真生 東京大学, 物性研究所, 助手
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | フタロシアニン / 分子エレクトロニクス / π-d系 / ELスペクトル / 光伝導 / 光誘起磁化 / 分子性導体 / 巨大磁気抵抗 / 有機薄膜素子 / 光応答性 |
Research Abstract |
[Fe(Pc)(CN)_2]ユニットを用いた薄膜に関しては、昨年度までに紫外光の照射によって伝導キャリアとなるホールや電子が生成され得ることを見いだし、この分子ユニットを用いた素子作製という本研究の有用性をよく表わす結果が得られてきた。 今年度、新たに[(n-C_7H_<15>)_4N][Fe(Pc)(CN)_2]を用いてEL素子の作製にも成功し、その発光スペクトルが印加電圧の正負・大小に依存することを見いだした。通常のEL素子では、PLが強く観測されるものを発光材料として用いているが、[(n-C_7H_<15>)_4N][Fe(Pc)(CN)_2]はPLを示さない。PLを示さない系でELの発光を観測できたこと、しかもその発光スペクトルが印加電圧に大きく依存するという現象は、どちらもまったく新しいものであり大変興味深い。発光のメカニズムはまだ完全には明らかにできていないが、金属フタロシアニンという錯体分子を用いている観点から一つのモデルを立て、その正当性を確認する実験を行っている。 一方で、上述した[Fe(Pc)(CN)_2]ユニットの光応答性を利用して、結晶系での光照射に依る導電性・磁化の変化を検討した。現時点では磁化の光応答性は明確には観測されていないが、TPP[Fe(Pc)(CN)_2]_2塩に関して、導電性が光照射に依って変化する現象が見つかった。この塩は大きな負の磁気抵抗を示すπ-d系であることが知られているので、光と磁場を組み合わせた条件下で、さらに新しい現象が観測されるものと示唆される。 以上、[Fe(Pc)(CN)_2]ユニットの多様な外場応答性が明らかになり、分子エレクトロニクスの研究対象として非常に有用な分子ユニットであることを明らかにした。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)