アメリカ占領下の日本における女性労働改革-保護と平等をめぐる論争を中心に-
Project/Area Number |
03J10847
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
西洋史
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊田 真穂 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2003: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | アメリカの日本占領 / 女性労働 / 保護と平等 / 労働組合婦人部 / 労働省 / GHQ / SCAP / ジェンダー / 労働運動 / アメリカの対日占領 |
Research Abstract |
本研究は、アメリカ占領下の日本における女性労働改革を、保護と平等をめぐる論争を中心に検討することによって、占領下の「女性解放」政策の歴史的意義を検討することを目的としている。そして、社会政策における男女平等に対する方針の日米間の違いが、占領下でいかに出会いまた衝突したのかを検討する。具体的には、労働基準法、労働省婦人少年局、労働組合婦人部といった、法律・制度・運動の三側面に対する連合国最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)の政策とそれに対する日本側の対応を検討する。同時に、日米両国のジェンダー観や労働政策の動きを視野に入れ、占領下の女性労働改革に反映していた米国本国の世紀転換期から続く革新主義思想や、1930年代からの社会福祉思想を、米国の労働省婦人局の政策や思想を中心に分析し、それがいかに占領下日本において、GHQ/SCAPの政策に影響を与えたのかを検証する。また、日本政府だけでなく日本社会や日本の女性労働者の側がGHQ/SCAPの女性労働改革をいかに受けとめたのかを、労働組合婦人部や労働省に注目して検討する。 そこで本年度は、運動の側面、すなわち、労働組合婦人部に対するGHQ/SCAPの政策を実証的に裏付ける研究に焦点を当てた。まず、女性労働者の側の対応や動きを分析するため、法政大学大原社会問題研究所所収の「日本産業別労働組合会議資料」を収集・調査して、労働組合婦人部の活動や組合内部における婦人部の位置づけなどを明らかにした。同時に、国立国会図書館憲政資料室所収のGHQ/SCAP文書資料を収集・調査し、労働組合婦人部に対するGHQ/SCAPの具体的な指示や内部での論争の詳細を明らかにした。また、当時GHQ/SCAP内で労働教育を担当していたデヴェラル(Richard Deverall)の文書を米国ワシントンDCのアメリカカソリック大学図書館において、および、日本の戦後労働運動関係の資料を米国カルフォルニア州のスタンフォード大学フーヴァー研究所において、調査・収集した。さらに、メリーランド州在住の元GHQ/SCAPスタッフで女性労働を担当したカラス(Mead Smith Karras)氏にインタビューを行った。一方、日本政府側の主体的な対応を分析するため、国立公文書館つくば分館所蔵の「労働法関係資料」や労働省所蔵の「労働省設置法案参考資料」などを調査した。その結果、従来の研究が、労働組合婦人部は、婦人部に共産主義の影響がみられると考えたGHQ/SCAPが解体指示を出し、その結果、婦人部の活動が衰退・消滅していったとしてきたが、むしろ婦人部廃止論は組合内に浮上していたし、GHQ/SCAPも日本政府も、労働組合婦人部の組織構造上のあり方に対しては批判をしつつも、婦人部の設置そのものやその活動に対しては協力的な姿勢を示し続けていたことを明らかにした。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)