Project/Area Number |
03J10867
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
国際法学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和仁 健太郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 中立 / 戦争法 / 武力紛争法 / 国際法 / 非交戦状態 |
Research Abstract |
本年度は、16世紀から20世紀前半に至るまでの条約、外交文書、国内法令・判例、議会資料、学説等を詳細に分析・研究し(英国国立公文書館における調査を含む)、その成果を論文にまとめた。その概要は以下の通りである。 Vattelをはじめとする18世紀中期の学説に由来し、19世紀の国家慣行・学説にも受容された中立理論によれば、中立とは、交戦国が中立国を戦争に巻き込まない法的義務を負うことを本質とするものであった。そして、中立国が負う公平義務は、中立国が戦争に巻き込まれない法的権利を享受するための対価・条件と位置づけられたのである。 しかし、20世紀初頭になり、国家は戦争に訴える無制限の権利を有しているという考え方が支配的になると、このような理論は維持しがたくなった(交戦国は中立国が中立義務を守っているか否かに関りなく同国を戦争に巻き込めるため)。そのことを指摘したのがOppenheim等の学説であったが、他方でこのような学説は、国家が何故中立義務を負うのか、その理論的根拠を示せないという問題を抱えていた(戦争に巻き込まれない権利の対価・条件という位置づけが不可能になるため)。 以上のことは、伝統的な中立観念が、いわゆる「無差別戦争観」と両立し得ないものだったことを意味する。Vattelは、国家が戦争に訴えるためには自国に対してなされた「不正」が必要であるという正戦論を前提に、交戦国に対して不援助・公平の態度をとる限り交戦国に対して「不正」を行っていないのだから、交戦国はそのような中立国を戦争に巻き込めない、と理論構成していたのであって、正戦論は彼の中立理論の不可欠の前提だった。そうだとすれば、中立の観念は、戦争が違法化された現代においてこそ妥当の根拠を有し得るといえるかもしれないのである。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)