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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
申請者はこれまでに、フラーレン五重付加体C_<60>R_5やそれらをシクロペンタジエニル型配位子として有する金属錯体について研究してきた。これらの化合物のフラーレン部位はC_5対称性を有する。特に、フェニル基のような平面性置換基を有するフラーレン五重付加体では、5つの置換基がプロペラ型に配向した光学活性分子として振舞うことが期待できる。 その際の問題点としては、C_<60>R_5の5つの置換基が自由に回転してしまうため、光学活性なプロペラ構造が保持されないということが挙げられる。そこで申請者は、5つの置換基によって囲まれたフラーレンのシクロペンタジエニル部位に、配位後に遊離することのない遷移金属部位を導入することにより、光学活性なプロペラ構造が保持できるのではないかと考えた。 これまでに申請者らが報告したフラーレン-ロジウム錯体Rh(η^5-C_<60>Me_5)(CO)_2(J.Am.Chem.Soc.2000,122,12407.)やバッキーフェロセンFe(η^5-C_5H_5)(η^5-C_<60>Me_5)(J.Am.Chem.Soc.2002,124,9354.)では、いずれもメチル基を5つ有するC_<60>Me_5錯体しか得られなかった。これらの錯体では、メチル基の構造から考えても光学活性なプロペラ構造はとれない。 そこで、申請者は本研究において、鉄と同族のルテニウムを用いて、バッキーフェロセンと同様の構造を有するバッキールテノセンの合成を試みた。しかし、ルテニウムを用いた場合でも、フェニル基のような平面性置換基を有する錯体は得られず、C_<60>Me_5配位子を有するRu(η^5-C_5H_5)(η^5-C_<60>Me_5)のみが得られた(Chem.Lett.2004,33,68.に発表)。 次に、中心金属を10族金属であるニッケル、パラジウムおよび白金に換えることにより、C_<60>Me_5錯体のみならず平面性置換基であるフェニル基を5つ有するC_<60>Ph_5錯体も合成することに成功した(現在、投稿中)。この成果は、今後フェニル基のような平面性置換基を有するC_5対称の光学活性な化合物の合成につながると考えられる。
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