Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
本年度は,太古代海嶺熱水変質岩について,(1)全岩化学分析結果から熱水変質作用による元素の挙動とフラックスを解明すること,(2)岩石記載結果の熱力学的解析から変質反応の物理化学条件を考察すること,(3)水-岩石反応実験用の高温・高圧反応容器を設計し,CO_2を多く含む系における玄武岩の変質作用を実験的に解析することの3点を目標に研究を進めた,以下にその研究実績を示す. (1)炭酸塩化作用によって,太古代の海洋地殻に炭酸塩鉱物として固定されたCO_2のフラックスは,変質岩に固定されるCO_2の量と,1年間に変質を被る海洋地殻の量から,3.8×10^<13>mol/yrと見積もられた,この太古代初期の海底熱水変質作用によるCO_2固定フラックスは,現世の地球において主に炭酸塩堆積物の沈殿と有機炭素の埋没によって固定される総CO_2フラックスと同等か,もしくはそれよりも大きい.このことから,大気の二酸化炭素濃度が非常に高かった太古代初期の地球において,海洋地殻の炭酸塩化作用が主要なCO_2シンクであったと結論された. (2)変質反応の熱力学的な解析から,変質の温度・圧力はそれぞれ約300℃,>200bar(水深にして>2000m)であり,熱水のCO_2濃度は>1mol%であったと見積もられた.この結果,太古代の海洋地殻の炭酸塩化作用は,当時の熱水(海水)の高いCO_2濃度によってもたらされたと結論された.また,反応に関与する岩石中のCaと熱水中のCO_2マスバランスから,炭酸塩化作用は空隙率が高く透水性の良い枕状玄武岩部で進みやすく,空隙率が低く透水性の悪い塊状ドレライト部では進行しにくかったことが明らかとなった。 (3)炭酸塩化作用を解析するための水-岩石反応実験設備として,Dikson型およびFlow-Through型のオートクレーブを設計した.実際の反応実験は,年度内に開始することができなかったが,次年度以降はこの設備を用いた実験を中心に研究を継続していく所存である. これらの一連の成果は,本年度の地球惑星関連学会合同大会および資源地質学会年会において発表され,Geochimica et Cosmochimica Acta誌に掲載された.
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