極端な雌偏向性比を示す寄生バチ蜂Melittobiaの雄間闘争と性比調節の進化
Project/Area Number |
03J11459
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
生態
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安部 淳 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 寄生バチ / Melittobia australica / 性比 / 局所的配偶競争 / 雄間闘争 / 動的ゲームモデル / 行動生態学 / 進化 / 寄生蜂 / 血縁認識 |
Research Abstract |
寄生バチMelittobiaにおいて、羽化順序による雄間の闘争能力の非対称性により、後から羽化する雄が殺されやすい場合、雌親にとってどのような雌雄の産み方(性比と産み分けのスケジュール)が適応的なのか、時系列を考慮した数値シミュレーションモデルを作成し、動的ゲーム理論を用いて進化的に安定的な性比を求めた。2頭の雌親が同一寄生に散乱する状況を考え、以下のような条件にもとづいてモデル化した。 (1)新たに羽化する雄は、既に羽化している雄よりも雄間闘争によって殺されやすい。これらの雄の死亡率は、パッチ内の雄の数(既に羽化して生き残っている雄の数+新たに羽化する雄の数)が多いほど高くなる。 (2)オスは無事に羽化して生存している間は交尾を続けるので、生き残っている雄の数は将来の羽化してくる雄の適応度に影響する。これを考慮して、雌親が生涯を通して最適に振る舞えるような毎日の雌雄の産み方を決定する。 解析の結果、新たに羽化する雄の死亡率が雄数の増加にともない大きく増加する場合、性比は極端に雌に偏るという結果が得られた。また、既に羽化して生き残っている雄と新たに羽化する雄の死亡率が差がない場合(対称な場合)は、Hamilton(1967)のモデルで予想される25%の雄率で産み続けることが適応的であるが、これらの死亡率の非対称性が大きくなるに従い、毎日の性比は極端に雌に偏ることがわかった。Melittobiaでは雄間闘争により、これらの雄における死亡率の非対称性は非常に大きいと考えられるため、羽化期間全体にわたって毎日少数の雄が羽化するというスケジュールが予測され、実際の羽化パターンの観測に一致する結果が得られた。以上より、Melittobiaでは、雄間闘争が羽化順序による競争能力の非対称性を引き起こすことにより、これまでのLMCモデルよりも全体を通しての性比は大きく雌に偏ることが示された。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)